第9回ネット句会 講師選発表!
お待たせをしてすいませんでした。第9回ネット句会、俳句大学の講師のみなさんの選句結果をアップさせていただきます。
★永田満徳選
【特選】
52 極月の爪切るときは息殺し 隣安
「爪切り」は精神の集中が必要であり、自然と「息殺し」ている自分に気付くことがある。「極月」という季語がそういう行為と不可分である。
【秀逸】
12 座り良き体言止めや鏡餅 酒井おかわり
34 年の瀬やまちがひ電話よく鳴って 渡辺すすむ
54 数え日や指に刺さりし銀の針 瓦すずめ
65 くんずほぐれつしつ帰る忘年会 井伊辰也
【佳作】
24 お茶漬けで済ます昼食年詰まる 井伊辰也
25 素っ気なく届く封書や年の暮れ 藤川都
131 巡回の医師の髭濃し聖夜なり 坂上雲
182 エンヤ聞く何とはなしにクリスマス 碩真由美
190 野良猫へ餌並べ置くクリスマス 津野利行
★五島高資選
【特選】
156 流されぬように聖樹の聳え立つ 関野義高
特に日本人は周囲の雰囲気に流されがちな性質もあり、クリスマスの本義を見失ってしまう嫌いがある。もっとも、クリスマス自体が単なるキリストの生誕を祝う行事ではなく、むしろ一陽来復を祝う土俗的な信仰にも裏打ちされている。聳え立つ聖樹にはそうしたもっと広い意味で自然風土への尊厳が感じられる。
【秀逸】
98 年の瀬の上野の山の西日かな 牧内登志雄
166 床揺らす洗濯器の音クリスマス 瓦すずめ
168 子供部屋聖樹が照らす忍び足 井伊辰也
183 聖夜なる歯磨きの音橇の音 永田満徳
【佳作】
26 年詰まる誤字のままなるお品書き 永田満徳
151 ちろちろと悋気の焔聖誕祭 宮島敦子
184 等分に執着しすぎ聖菓かな 山野辺草民
193 レジ打ちのサンタの睫毛カールせり 手塚偉智朗
★中山宙虫選
【特選】
131 巡回の医師の髭濃し聖夜なり 坂上雲
クリスマスイブ。この日の迎え方はひとそれぞれだろう。待ちに待っているひともいれば、どうでもいいひともいる。病室のなかで迎えるひとたちもたくさんいる。そして巡回をする医師もそのひとり。「髭濃し」医師のクリスマスイブは普段と変わらぬ何の変哲もない日なのに違いない。この医師が行く先々に雑多な想いを抱えた人々が見える。
【秀逸】
52 極月の爪切るときは息殺し 隣安
99 歳晩や犬の眠りは深かかりき 永田満徳
153 聖夜くる海賊版にジョン・レノン 碩真由美
【佳作】
13 カランカランカラン当たりましたと年の暮 十河智
17 極月の壁に重ぬる暦かな 西村楊子
25 素っ気なく届く封書や年の暮れ 藤川都
195 樹もビルも河さへ飾るクリスマス 十河智
以上です。
講師のみなさん、ありがとうございました!