俳句大学のネット句会用のブログです。このネット句会への参加資格は、Facebook内で俳句大学に「いいね」を押して頂いた方や俳句大学投句欄のメンバーの方、あるいは実際に俳句大学の講義を受講された方、またFacebookはやってないけどこのネット句会を知り、俳句大学の趣旨に賛同にして頂いた方(俳句大学の趣旨はリンク先の「俳句大学」のHPをご覧くださいませ)となっております。あまり固いことを言うつもりはございませんが、俳句が好きだけど様々な事情で句会に参加しにくい方や、所属する結社以外の方と句会を楽しんでみたい方など、多くのみなさんとこの場で句会を楽しんでいけたらと思っております。前記の条件だけで基本的にどなたでも参加可能ですが、一応大学と名乗らせてもらっている以上、ある程度の俳句の知識、そして向上心をもって取り組んで頂けたら幸いです。私自身もこの場でみなさんと一緒に楽しませて頂きたいと思っております。また試行錯誤しながら運営をしていきますので至らない点があろうかと思いますが、なにぶんご理解の上ご協力頂ければ幸いです。みなさんよろしくお願いいたします。

第10回ネット句会 みなさんからの特選句へのコメントです!

第10回ネット句会、みなさんの特選句へのコメントをアップさせていただきます。順不同にてお許しくださいませ。また、コメントのコピペ落ちやコメントそのものの落ち・ダブり、または選者の間違いなどありましたら津野までご連絡くださいませ。

 

渡辺栄一さんのコメントを拾い忘れておりました。2/9に追記させて頂きました。すいませんでした。

 


【井伊辰也】
特選:126 外国に住みて賀状のいつか消え
海外で14回目の正月を迎えた私にとって、共感せずにはいられない句。日本とはネットや電話で簡単にやりとりが出来るのだが、ちょっとしたことで取り残されていると感じてしまうことがある。年賀状は、まさにそのトリガーの一つだ。


【遠音】
<特選>53 箱根路の淑気分けゆく襷かな
まず、中七の措辞にうならされました。箱根駅伝はテレビ観戦しかしたことがありませんが、それでも、あふれんばかりの沿道の人々が振る小旗、それが波のようにさざめいて日に照り輝くあの光景は、圧倒されます。その声援を「淑気」、そしてその中をゆくランナーの様子を「分けゆく」とした措辞が秀逸でした。声援と祝福に満ちた応援の波を掻き分けるように、ランナーが力を尽くして走り抜けてゆく光景が、まざまざと浮かんできます。中七だけではなく全体的にも完成度が高い句だと思います。


【亜仁子】
一番いいとして、142番の俳句を選択いたしました。
この俳句の基底部は、【年に数回また合える】です。今年もまた何回も会えると信じています。残念ながら、仕事で忙しくて、数回しか会えません。干渉部は、【賀状書く】です。年賀状に、「今年も宜しくお願いします」と書きながら、今年も何回も会いましょうと信じています。基底部の言葉続きには、作者の希望がよく感じることができると思っております。


【野島正則】
特選5
この句から伝わってくる、大きな景に圧倒されます。初日の出を待つ新年の緊張感がとても良いと思います


【瓦すずめ】
148一族の眉太き顔年賀状
普段合わない親戚から年賀状が送られてきたのでしょうか。そこで、親戚の顔を思い浮かべてみる。皆眉が太い。自分も太い。一年の始まりに、一族の血のつながりを実感した、自分のルーツを確認できたということで、主人公が元気が出ているように思え、こちらも元気を分けてもらえるように思いました。


【坂上雲】
特選 75 真白なタオル厠の淑気かな
今回のお題はすべて新年、新春、正月の季語で、五つの句を作り分けるのが難しかったです。この季語でなければ、という必然性を生み出し、季語を効かすことが私はあまりできませんでした。
その中でこの句は「淑気」と普通は結びつかない「厠の真白いタオル」という意表を突くものをぶつけて来て、まさに二物衝撃のお手本のような句になっていると思いました。トイレのタオルが新品の真っ白いものに変わっていることで、トイレにも新春の瑞祥をかんじるというその発想、着眼点が素晴らしいです。


【北野和良】
(特選) 120 禁煙の文字の再び賀状かな
禁煙は難しいもの。一度決心して取り組んでも挫折する。作者の友人も一度禁煙に失敗して、年初新たに禁煙するとの賀状を出すことで自分を奮い立たせているのだろう。そんな賀状を受けた作者の「頑張れよ、今度はきっと成功するから」という気持ちを察することの出来る句だ。


【桑本栄太郎】
53)箱根路の淑気分けゆく襷かな
正月2日、3日の大学対抗箱根駅伝は最早正月の名物イベントとなりました。今年も往路・復路とも圧倒的強さで青山学院大学が栄冠を手にしました。上り坂、下り坂の起伏の多いい山道を懸命に走る光景はまさに、正月の「淑気を分ける」ようでした。


【蓼科川奈】
特選句21 購ひし日記探すや三が日
新年に気持ちを新たに日記を書き始めなければと、買っておいた日記を探す。とても共感を覚えて新年の自分の姿を重ね合わせました。そしてどことなく優しさも感じられるこのお句が好きです。新年らしい素敵なお句だと思います。


【西村楊子】
137抽出しに在る一枚の賀状かな
いろいろ想像が膨らむ一句です。①書いた後で訃報があった。②ほかの人と一緒の束からは外した大事な人からの賀状③出そうとして書いたが躊躇して出さずじまいだった賀状。私は③の読みが好きです


【碩真由美】
特選9:「三ヶ日ポストのぞく子背伸びして」
子供の頃を懐かしく思い出しました。配達される年賀状を日に何度も確認しにポストをのぞきにゆく。「背伸び」とあるからまだ小学校前のお子さんでしょうか。一時ケータイメールで済ませたこともありましたが、やはり紙として残る年賀状に勝るものはありません。もう「背伸び」はしなくなりましたが、年賀状を待つ気持ちは句中の「子」といまも変わりません。


【熊谷房子】
特選95 ヘラジカの深き足跡初景色
ヘラジカの大きさは、どれ位と詠んでいないが、『深き足跡』でその大きさを思わせる秀句である。初景色の中の足跡はなにか神聖なものでも見る思いだったのだろう。


【五島高資】
特選 75 真白なタオル厠の淑気かな
用便は毎日の大事な生理現象。一年の初め改めて健康を祈る思いが真白なタオルに覗われる。その淑気に厠の神もお喜びのことと思う。


【十河智】
特選句は、53
箱根駅伝の雰囲気が、すべて、この一句の中に言い表されている。若者が、持つエネルギーが、張り詰めたシュッ木を打ち破って動き出す、年初の大イベントをよく表現できている。


【山中みきを】
162 特選
選句をさせていただくとき、どの句が句としてよいのかということより、共感できるのはどの句かということでしかまだまだ選ぶことができません。この句は、対象の細かな観察があります。作者の意図するところと同じかどうかはわかりませんが、「人間の社会も同じだなあ。」という共感です。


【清水憲一】
特選128
賀状の中には申と大きく書かれたものがあり、さらにこの賀状の字は飛白の書体であった。それを詠者が珍しさの余り句にしたのだろう。その日常の出来事を素直に切り取る姿勢に共感した。尚飛白体は空海が中国から日本に筆法を持ち帰ったとされている。


【山岸八萬星】
特選は、68。
中七の「尻引き締まる」が効いてます。赤ちゃんゆえにおむつの中身のことが想像できますが、それと「淑気」のつかず離れずの取り合わせが面白いですね。


【小酒井あゆみ】
特選 116 悪友の字が野太くて賀状かな
思わずニヤリとしてしまいました。若い頃、ちょっとやんちゃした仲間なのでしょうか…そういう悪友は未だにワイルドで、しぶとくて、でも憎めなくて…男性が作者でしょうか?熱い友情を感じました。


【髙橋亜紀彦】
9 三ヶ日ポストのぞく子背伸びして
兎に角、可愛いです!!ヽ(^o^)丿


【檜鼻鬼旬】
特選 30 三ヶ日日一枚を積み重ね
句のリズムというか響きが好きです。瞬く間にすぎゆく三ケ日。来年も今年のような三ケ日が迎えられるかなぁと願いつつ年の初めを祝いました。


【隣安】
47 アルプスの白く横たふ淑気かな
白く横たふ、という何気ない描写に惹かれました。普段から見慣れた光景が季語と出会った時、厳かさを纏うのは俳句の醍醐味だと思います。


【牧内登志雄】
特選は「189」賭して下さい。コメントは下記のとおりです。
雀の行動をよく観察しているとおもいます。「初雀」ということで、少し着膨れてふっくり、新しい年を迎えての御挨拶ついでに、いろいろと不景気な世間話が弾んだのでしょう。「あ、もう行かなくちゃ」と慌てて飛び立っていく雀たちが、可愛く詠まれていますね。


【伊藤衒叟】
(特選)128 申の字の飛白の光る賀状かな
「飛白の光る」の巧みな措辞が、句の型の美しさによって一際に映えています。躍動する筆の景も感じられました。


【村上ヤチ代】
特選・53 箱根路の淑気分けゆく襷かな
箱根駅伝をめでたさと荘厳さで詠んでいると思いました。


【茂木ひさを】
特選:174
選句理由:前に書いた選句理由でお願いします。


【山野辺草民】
特選53.  箱根路の淑気分けゆく襷かな
箱根の山を早朝一気に下っていく復路のイメージでとらえた。箱根路の淑気という遠景から、襷へクローズアップする展開は見事。分かりやすくて格調高い句だと思います。


【佐藤日田路】
特選68 這い這いの尻引き締まる淑気かな
這い這いとある。乳用児である。引き締まった句である。人間ほど成人までの成育が長い動物は珍しい。乳を吸っていた児が、這い這い、そしてつかまり立ち、二足歩行。尻が引き締まり、次のステップも近い。成長は、実に厳粛な生命の営みである。「かな」の詠嘆が利いている


【大久保俊克】
126 外国に住みて賀状のいつか消え
外国に住みと病院と 似ています 寂しいです


【関野義高】
特選句:68這い這いの尻引き締まる淑気かな
赤ちゃんのお尻に注目するユニークさ。そして新たな年と、新たな命を言祝ぐ相乗効果が、新年詠の本質にふさわしいと思います。


【加納裕】
特選116 旅果ててこの世に戻る賀状かな
週刊誌の鬼、扇谷正造は「人生というものは旅である。ただし、この旅は片道切符しかない。」と語った。泉下の客となった者より戻って来た賀状。眺める背中は何時もより老け込んでみえる


【手塚偉智朗】
特選  64  はにかみて妻の淑気や薄化粧
ご主人だけに見せるとびきりの笑顔を、覗いてしまったような、何とも申し訳ない句です。(笑)惜しむらくは、中七で、切れを入れたことでしょうか。


【髙橋信治】
鶴亀の着物姿に初景色【特選】
鶴亀というお正月飾りを詠んだことで、新しい年明けの光景が浮かんでくる佳句です。


【渡邉春生】
特選149 五年目の仮設の住所賀状受く
めでたい新年ですが、「仮設の住所」に賀状を受ける、いうなれば、今年も自宅へ戻ることなく6年目に入るという、深刻な現実なのです。この句の余白には、言い知れぬものが詰まっています。社会性俳句とか時事俳句ではない、生活者の叫びが聞こえてくるような俳句です。


渡辺栄一】
特選句 189 初雀喋り尽くして飛立てり
雀の鳴き声の騒がしさはまさしくお喋りのごとく、朝鳴き声を聴くとその日は晴れて、夕刻鳴き声を聴くと翌日は雨、そんなことを聞いたことがあります。この句が朝・夕のどちらを読まれたかはわからないけれど、散々話し尽くして一斉に飛び立つスズメたち冬の天気をあれこれ話し合ったいたのだろう。


【谷原恵里子】
特選  湖は仄かに動き初景色
元日の静かな湖にまっすぐに向き合う作者。仄かに動きがいい。
ほとんど動かない穏やかな湖にも、優しい仄かな動きがあり、希望が感じられる、調べも美しいお句。


【津野利行】
5 あるだけのおもちや出てくる三ヶ日
せっかくのお正月三が日、お父さんもおじいちゃん、おばあちゃんもいたりする。子供にとっては自分の財産であるおもちゃを見てもらう年に一度の大チャンスですよね。子供らの得意げな顔、ちらかったおもちゃも喜んでいるように思います。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。特選句以外の選などにつきましては、宜しければブログコメント欄や各自FBページなどにて反省会をしていただければ幸いです。次回のネット句会でお会いできますでしょうか!w
それではみなさん、ひとまずさようなら!

 

俳句大学ネット句会担当/津野利行

【管理人:元 俳句大会通信教育学部ネット句会科/津野 利行】