第1回練習ネット句会 講師選
第1回練習ネット句会、俳句大学の永田満徳、五島高資両氏の選を発表させて頂きます。
★永田満徳選
【特選】
2 春めきて天から羽の降りし朝 辻村麻乃
【入選】
40 春ショールふはり飛び出す旅鞄 辻村麻乃
6 窓ガラス拭きたる泡も春めけり 宮野緒幌
12 春めくや五分刈りにせし頭撫で 野島正則
【佳作】
20 春めきて郵便箱に移転先 歌代美遥
34 春ショール裏づけのない恋をする 浦川裕文
68 白梅の時の余白に重なりぬ 宮幸代
77 枝先に雨をのこして枝垂梅 津野利行
24 春めきぬパンケーキには蜜の味 谷原恵里子
70 探梅や声に誘われ山深く 北野和良
特選句を始めとした多くの句は季語の斡旋が魅力であることはもちろんであるが、内容も季語にふさわしく、句意の雰囲気がとてもいいのを選んだ。 その中で、「裏づけのない」は共感を呼び、「時の余白」は抽象的であるが措辞の独特性に注目し、「声に誘われ」は物の発見で気に入った。 練習句会ではあるが、レベルの高く、今後の句会の行方に期待が持てたことが何よりである。
★五島高資選
【特選】
68 白梅の時の余白に重なりぬ 宮幸代
【入選】
62 梅の花宇宙(そら)の氣含みてふふみをり 辻村麻乃
81 参道の闇に枝張る軒の梅 辻村麻乃
8 春めきて漁る船に救命具 熊谷房子
【佳作】
6 窓ガラス拭きたる泡も春めけり 宮野緒幌
9 春めくや洗濯物の嵩増えり 菊池洋勝
89 飛梅や東に下り匂ひ継ぐ 北野和良
80 引き返す小路に匂ふ濃紅梅 歌代美遥
10 スニーカー新しく買ひ春めきぬ 谷原恵里子
11 春めきて月を眺めぬこと多し 西村楊子
今回は第1回の練習句会といってもとても良い作品が多く選句に困りました。特選の「白梅の時の余白に重なりぬ 宮幸代」では、眼には見えない時を白梅の落花に垣間見せてくれたところに詩的感性の素晴らしさを感じました。
選外では、
61 「あ」と咲きて「う」も控へけり梅の枝 西村楊子
71 紅梅やはるか彼方の妻の色 川岡末好
77 枝先に雨をのこして枝垂梅 津野利行
などに惹かれました。最後になりましたが、津野さんの多大なるご努力に心より感謝申し上げます。
以上です。
ちなみに、お二方には名前を伏せてみなさんと同じように選をして頂きました。
お二方、宜しければお手すきに句へのコメント・感想など、コメント欄に書き込みをお願いできれば幸いです。よろしくお願いいたします。