俳句大学のネット句会用のブログです。このネット句会への参加資格は、Facebook内で俳句大学に「いいね」を押して頂いた方や俳句大学投句欄のメンバーの方、あるいは実際に俳句大学の講義を受講された方、またFacebookはやってないけどこのネット句会を知り、俳句大学の趣旨に賛同にして頂いた方(俳句大学の趣旨はリンク先の「俳句大学」のHPをご覧くださいませ)となっております。あまり固いことを言うつもりはございませんが、俳句が好きだけど様々な事情で句会に参加しにくい方や、所属する結社以外の方と句会を楽しんでみたい方など、多くのみなさんとこの場で句会を楽しんでいけたらと思っております。前記の条件だけで基本的にどなたでも参加可能ですが、一応大学と名乗らせてもらっている以上、ある程度の俳句の知識、そして向上心をもって取り組んで頂けたら幸いです。私自身もこの場でみなさんと一緒に楽しませて頂きたいと思っております。また試行錯誤しながら運営をしていきますので至らない点があろうかと思いますが、なにぶんご理解の上ご協力頂ければ幸いです。みなさんよろしくお願いいたします。

第7回ネット句会 講師選発表!

お待たせをしてすいませんでした。第7回ネット句会、俳句大学の講師のみなさんの選句結果をアップさせていただきます。いままでの永田満徳、五島高資、中山宙虫のお三方に加え、今回より渡部稲穂さんを加えた四名の講師のみなさんに選句をして頂きました。

 

★永田満徳選

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【特選】
85 天体図の星から星へ秋の蠅 井伊辰也
「宇宙」という席題は抽象的、想像的になりがちである。しかし、掲句のように、「天体図」に止まり歩く「秋の蝿」を見たまま描いている方が返って、天体の星々を辿る蝿がいるとしたらどうだろうと想像を逞しゅうしてくれる。正しく文字情報のトリックの面白さを堪能させてくれた句である。


【秀逸】
20 長き夜や近くにゐてもゐなくても 川岡末好
50 君おもふゆゑに吾あり酔芙蓉 桑本栄太郎
178 世渡りが下手で秋刀魚が大好きで 関野義高
186 色変へぬ松や岳父の片手酌 恩田富太


【佳作】
36 冬紅葉またねと触れし細き指 檜鼻鬼旬
43 二歩前を歩く君の背赤蜻蛉 中川洋子
100 もう会はぬ人のまなざし天の川 遠音
160 手袋の父の形に残りをり 小酒井あゆみ
164 赤い羽根父の背広に刺ししまま 西村楊子

 


★五島高資選

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【特選】
20 長き夜や近くにゐてもゐなくても 川岡末好
長き夜とは、昼に比べて長くなる秋の夜のことであり、本来は時間的な感覚によるものである。もちろん、誰かを待ちわびるなどといった主観的な時間性も加味される。しかし、掲句では、空間的な距離による詩情を素直に表現することにより、それが却って「長き夜」にうまくフィードバックして、時空を超える恋心あるいは愛情の本質が詩的に捉えられている。


【秀逸】
34 ひと駅を歩く別れや秋しぐれ 渡辺すすむ
85 天体図の星から星へ秋の蠅 井伊辰也
202 秋の蚊を打ち損なひて父笑ふ 遠音

 

【佳作】
96 網膜の底に広がる天の川 高尾美紀
101 銀漢を厠に行きし時仰ぐ 熊谷房子
155 父の忌のまた雪が降るアスファルト 谷原恵理子
162 一度父に叩かれし日よ鷹渡る 俣江美智子
216 老父の足洗ふ音良夜かな 大関博美

 


★中山宙虫選

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【特選】
21 まなうらに栖む鶺鴒の飛び去らず 西村楊子
「恋愛」をテーマに詠まれた句だというのが面白い。鶺鴒の姿が記憶から離れない。尾をくいくいと上げながら歩く鶺鴒の姿が目に焼き付いているのだ。秋の光も感じられる。忘れたいのにちらちらと鶺鴒は離れてくれないのだ。恋愛の句となるとどうしても昭和歌謡の歌詞のような句が多々登場するなか異彩を放っている。


【秀逸】
59 恋絵馬をかたりと鳴らし秋は行く 谷原恵理子
76 満月や天に子宮のあるらしき 西村楊子
120 白秋や火星にありし水の跡 宮野緒幌


【佳作】
34 ひと駅を歩く別れや秋しぐれ 渡辺すすむ
52 眼の合ひてまだ恋未満枇杷の花 山中みきを
160 手袋の父の形に残りをり 小酒井あゆみ
190 その中に父の聲ある芋煮会 渡辺すすむ

 


★渡部稲穂選

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【特選】
120 白秋や火星にありし水の跡 宮野緒幌
白秋は、なんとなくもの寂しい気分の強い季語と火星という近くて遠い存在は、そしてそこには水の跡あるよとの気分が「や」ということばでバランスよくつながっていることに好感をもちました。見えそうで見えない、どちらも心象風景の中にある景色をうまく取り合わせたことから特選とさせていただきます。


【秀逸】
65 微熱ある君の横顔唐楓 野島正則
98 水星の壁から霧の打つメール 小酒井あゆみ
160 手袋の父の形に残りをり 小酒井あゆみ


【佳作】
47 一度だけただ一度だけ林檎噛む 小酒井あゆみ
72 あのひとの雌雄知らんや文化の日 山岸八萬星
175 紫苑挿す月命日に父の部屋 山野辺草民
200 栗飯に徳利一本父の貌 北野和良

 

 

以上です。
講師のみなさん、ありがとうございました!

【管理人:元 俳句大会通信教育学部ネット句会科/津野 利行】