俳句大学のネット句会用のブログです。このネット句会への参加資格は、Facebook内で俳句大学に「いいね」を押して頂いた方や俳句大学投句欄のメンバーの方、あるいは実際に俳句大学の講義を受講された方、またFacebookはやってないけどこのネット句会を知り、俳句大学の趣旨に賛同にして頂いた方(俳句大学の趣旨はリンク先の「俳句大学」のHPをご覧くださいませ)となっております。あまり固いことを言うつもりはございませんが、俳句が好きだけど様々な事情で句会に参加しにくい方や、所属する結社以外の方と句会を楽しんでみたい方など、多くのみなさんとこの場で句会を楽しんでいけたらと思っております。前記の条件だけで基本的にどなたでも参加可能ですが、一応大学と名乗らせてもらっている以上、ある程度の俳句の知識、そして向上心をもって取り組んで頂けたら幸いです。私自身もこの場でみなさんと一緒に楽しませて頂きたいと思っております。また試行錯誤しながら運営をしていきますので至らない点があろうかと思いますが、なにぶんご理解の上ご協力頂ければ幸いです。みなさんよろしくお願いいたします。

第9回ネット句会 みなさんからの特選句へのコメントです!

第9回ネット句会、みなさんの特選句へのコメントをアップさせていただきます。今回は永田満徳さんと五島高資さんが参加してくれておりますが、お二人の選は別途講師選にてアップさせて頂きます。以下、順不同にてお許しくださいませ。また、コメントのコピペ落ちやコメントそのものの落ち・ダブり、または選者の間違いなどありましたら津野までご連絡くださいませ。

 

【熊谷房子】
49 年の暮上野の隅の国訛り
『の』の連続使いが気になりましたが
『上野の隅の国訛り』の措辞が年の暮  のアメ横を表現され、啄木の『ふるさとのなまりなつかし停車場の人ごみの中そを聴きに行く』を思いました。


【桑本栄太郎】
84)歳晩の漢字一文字なる世相
先日、清水寺の管長により「今年の漢字」が「安」と決められ、揮毫されました。今年の初め、日本人二人の中東人質拘束殺害事案に始まり、その後の世界中でのテロ、航空機爆発事案など今年ほど不安を呼んだ年はありませんでした。又国内では、日米安保改定の論議が大騒ぎとなった年でもありました。たった一文字の「安」が「不」にもなり、「心」にも振れる「安」を真中にしての重要な世相でした。


【西村楊子】
特選は86 物指の縁を拭き取り年暮る
べたつきのない喩が好きです。物指を持ってこられたことに感服いたしました。さらりと縁をふきとるしなやかな指が見えます。意味を背負いすぎた喩ではないので俳句の冷やかな上品さを感じます。川柳をしている私が負けたと思う瞬間です。


【碩真由美】
特選13:カランカランカラン当たりましたと年の暮
こんな風に大当たりで一年を終えられたらいいなと思いました。季重なりにならないようにカランカランカランと片仮名で工夫されています。読んでいて気持ちが明るくなるお句です。


【十河智】
特選  71 ごくごく自然に共感してしまいました。


大関博美】
105(特選)
2015年を象徴する漢字は「安」でした。さまざまな、衝撃の事件も多くまた安保法制についても日本中で議論がかわされた。作者の漢字は、「転」!躓いたり、失敗したり色々な事への自戒がこもっておられるのだと感じ、そこに明るいユーモアを頂きました。


【野島正則】
28 年の瀬や聞かれちゃならぬ独り言
・どんな独り言が飛び出すのか、一年の締めくくりなので、普段の独り言とは違う、特別な独り言だったことが想像できる。


【清水憲一】
特選81番
今年も多くの人が亡くなったが、私に取って一番身近な存在は、7月に亡くなられた哲学者の鶴見俊輔氏であった。このように人それぞれに取って身近な人を偲び、名残を惜しみ年惜しむ気持ちが良く伝わる佳句である。


【井伊辰也】
特選 83 極月や小さき罪のこと想ふ
年末になって一年を振り返り、おそらく既に解決しているのであろうが、心に引っかかっている出来事に自責の念を抱いているのだろう。綺麗さっぱり忘れて新年を迎えたいところだが、そう簡単にいかないのが人というもの。心中を察するに余りある状況にいたく共感した。


【酒井おかわり】
特選は155 だましてた訳じゃないのよポインセチア
楽しげな二句一章で季語に語らせる事で膨らみも有り省略も効いている佳句。


【山岸八萬星】
特選は109。
この数字は、年齢なのか、宝くじなどか、いろいろ想像できるところが面白いです。


【瓦すずめ】
特選は132 クリスマス嬰児にありし尾骨かな です。
クリスマスに赤ん坊に触ると手が尾てい骨に当たった。おそらくは赤ん坊を抱きしめていたのでしょう。クリスマスパーティーなど行われているから、赤ん坊はいつもよりはしゃいでいるかもしれない。それで、抱いていた手が尾てい骨に触れたのでしょうか。情景が浮かび上がるように思います。また尾てい骨の確かな手触りと、クリスマスという言葉が組み合わせることで、子供を想う気持ちが洗われているようにも思いました。


【北野和良】
(特選)11 大晦日バイトの巫女のピアス痕
大晦日から正月にかけての神社の巫女さんも当節は女子高生のバイトが多い。にわか仕立ての巫女さんが慣れぬ手つきで破魔矢、御札などを手渡してくれる。ふと見ると彼女の耳にピアス痕を見つけた。巫女はピアスなどを着けてはいけないと言われて慌てて外したのだろう。時代を鋭く切り取った面白い句だ。


【小酒井あゆみ】
特選 77 弥次郎兵衛意志持つごとし大晦日
弥次郎兵衛の揺らぎが時空を曲げているのか…それとも私が催眠術にかかってしまったのか…そんな事を思わせる惹かれる御句です。季語も効いていると思います!


【渡辺すすむ】
特選句・No.13 カランカランカラン当たりましたと年の暮
年末の商店街の喧騒が聞こえてくるようですね。かつて一度だけ当たりが出たことがあり、大した賞品ではないのに大きな音で「大当たり〜」などと言われて恥ずかしいのと、嬉しい気持ちで複雑な年の暮れを過ごした記憶がありありと甦りました。


【髙橋亜紀彦】
特選59:何処に?ホントに?身に覚え無い?・・・面白いです!!(大勢採るだろうなぁ・・・)。


【加納裕】
特選80 年暮るる堂島雀の長電話 
堂島すずめといえば 都はるみの「大阪しぐれ」である。堂島の噂並木に生きるすずめは古傷だらけでも尽くそうとするが、なかなか思いは叶わずにいる。この句のすずめは幸せだろうか。長電話の相手は思いびとだろうか、それとも故郷の老親であろうか。そう想起させる句である。作詞の吉岡治は後に天城越えも作詞している。「誰かに盗られるくらいならあなたを殺していいですか」ここに至るまでの物語をこの昭和の香りのする句は物語るものであろうか。惜しむらくはあとすこし、匂い立つような色が欲しい。


【隣安】
93 数え日や「猫が孫よ」と母の笑む
母と一人娘の会話と読みました。押し詰まった年の瀬に、却って静かな時間の恵みを感じます。「笑む」の一語で救われていると思います。


【檜鼻鬼旬】
特選句:12 座り良き体言止めや鏡餅
厳かで存在感のある鏡餅が眼に見えるよう。「体言止め」という見事な切り口に感服します。


【関野義高】
特選句:50一日は二十二時間年の暮
選評:言葉で飾ることもできぬほどの忙しさが、よく伝わります。


【亜仁子】
一番いい一句として選んだ俳句は、139番の「明るきと暗きまどあり聖夜の宿」という俳句ですね。
この俳句の基底部は、「明るきと暗き窓あり」です。明るいと暗いのコントラストであり、いいですね。何故、明るいと暗い窓があるんですか。干渉部は、「聖夜の宿」です。聖夜であるので、暗いですが、宿に蝋燭やクリスマスツリーなどが光り、明るさもあります。読者を感動させる俳句であり、ぐっときてハッとしていますね。


【牧内登志雄】
特選113>百歳にまだ三十年日記買ふ
齢七十歳、百歳までの意気や良し。まだまだ頑張って欲しい先達ですね。


【宮島敦子】
特選72 岬にて道草を食ふ師走かな
師走は何かと気忙しいなかふと海の見える岬に寄った作者なんと羨ましい。岬と師走の絶妙な取り合わせに感銘致しました。


【佐藤日田路】
59  年の瀬や身に覚え無き青い痣
青痣と言えば、かなりの衝撃だったでしょう。しかし、記憶が無い。忘年会で酔ってどこかにぶつけたのでしょうか?年の瀬の忙しさで痛いのも忘れていたということ?身近な日常のホラー感が面白い。


【比々き】
特選:111 京町家裏に干されし河豚の鰭
京都人には特有のプライドがあるようで、安易に心の内は見せないところがある。それは家にも反映されていて、いわゆる鰻の寝床、間口が狭く奥が深い作りになっている。その京町屋の奥の奥、人目につかない裏では、鰭酒にするであろう河豚の鰭(おそらく馴染みの魚屋でタダ同然で手に入れたものだろう)が干されているのを偶然作者は見てしまったのだ。誇り高さと一見不似合いな「始末」の精神の同居。人間存在の一筋縄ではいかない複雑かつ微妙なこの屈折感が掬い取られていて、何とも言えない。


【武藤隆司】
特選 171新しきエプロンの妻クリスマス
奥さんが新しいエプロンをして、それがクリスマスだったという、何気ない句であるが、それがむしろ、クリスマス自体をとても新鮮なものにしている。クリスマスという本来の原点の純粋性に立ち返っているような気がするのである。


【手塚偉智朗】
特選  56 世を忘れ世に忘れられ除夜の鐘
毎回秀作揃いなので、選句は、難しいですが、この句は、一度読むと、耳から、離れません。自分自身の事のようで、後から、笑えてきます。


【村上ヤチ代】
特選・75 口ぐせは冥土の土産ふぐと汁
季語の斡旋がどんぴしゃりとが効いていて楽しいお句と思いました。


【藤川都】
特選47  年越して残ったスルメを眺め去年を思う。去ったばかりの一年が、すでに懐かしいものに思われる日に、スルメの足が去年の歩みを確かなものとしてくれる、そんな情景がふっと浮かんできました。


【瘋癲老人】
131 特選 年に幾度となく入院している儂にとっては当直医の朝方の顔は、とてもありがたく、身につまされ特選としたい


【高尾美紀】
63 リズムの良さが気に入りました。妙に納得のこのフレーズそんな風に穏やかに年取っていきたいな~~としみじみでした。


【山野辺草民】
【特選】120  馬小屋に明かりの点る聖夜かな
馬の世話は毎日のことだが、クリスマスという特別な時間の意味が中七に込められておりグッとくる。


【菊池洋勝】
特選51◎の選評
年の暮に歩く平らな道とは。どんな道か歩く理由までが気になり頭の隅に残る一句でした。鑑賞が飛躍するかも知れませんが一年のニュースを振り返る特集を見る度に天災、人災、戦争、政争の話題は尽きません。せめて庶民の暮らしは平らな道を生きたいと細やかな願いも込められていると読み解しています。


【川岡末好】
特選:49.年の暮上野の隅の国訛り
<特選句感想>年の暮のアメ横上野駅か…などまず想像しました。たぶん作者は故郷には帰らないのでしょう、ふと田舎の方言を聴いたのですね。そりゃあ、たまらなくなるほどの郷愁に襲われることでしょう。「上野」という地名、「年の暮」という季語が効いてます。


【遠音】
<特選> 46 賀状書きことしは三枚余しけり
今回も秀句が多く、選句は悩みました。「三枚余しけり」が含むものがなになのか、様々に解釈できるところにこの句の深みがあると思います。思いがけず喪中の挨拶が来てしまった為賀状を送れない相手が生じてしまったのか、或いは鬼籍に入られた為出すことがかなわないのか、はたまた転居先不明で送りようがなくなってしまったのか…。パソコンやスマートフォン等ネットでの繋がりが発達している昨今ですが、年賀状など書簡のやりとりで保たれている繋がりも未だ健在であるのだと、しみじみとさせられました。


【山中みきを】
特選137 コメント:「プレゼントは何が欲しい?」「思いつきません。」


【津野利行】
20 隙間風はたと気がつく猫の留守
私、動物の句、ころさら猫があまり好きではなく猫の句もあまり好きではないのですが、この句は猫が留守だという。季語「隙間風」に気が付き、そしてまた猫が留守であることに気付いたと。どこへ行ったのか、こう詠まれると猫に愛着がわかないこともないと思わせてくれた句でした。


【坂上雲】
※選句無し

 

 

いかがでしたでしょうか。特選句以外の選などにつきましては、宜しければブログコメント欄や各自FBページなどにて反省会をしていただければ幸いです。また、次回また新年のネット句会でお会いしましょう。よいお年をお迎えくださいませ、ありがとうございました。

 

俳句大学ネット句会担当/津野利行

【管理人:元 俳句大会通信教育学部ネット句会科/津野 利行】