俳句大学のネット句会用のブログです。このネット句会への参加資格は、Facebook内で俳句大学に「いいね」を押して頂いた方や俳句大学投句欄のメンバーの方、あるいは実際に俳句大学の講義を受講された方、またFacebookはやってないけどこのネット句会を知り、俳句大学の趣旨に賛同にして頂いた方(俳句大学の趣旨はリンク先の「俳句大学」のHPをご覧くださいませ)となっております。あまり固いことを言うつもりはございませんが、俳句が好きだけど様々な事情で句会に参加しにくい方や、所属する結社以外の方と句会を楽しんでみたい方など、多くのみなさんとこの場で句会を楽しんでいけたらと思っております。前記の条件だけで基本的にどなたでも参加可能ですが、一応大学と名乗らせてもらっている以上、ある程度の俳句の知識、そして向上心をもって取り組んで頂けたら幸いです。私自身もこの場でみなさんと一緒に楽しませて頂きたいと思っております。また試行錯誤しながら運営をしていきますので至らない点があろうかと思いますが、なにぶんご理解の上ご協力頂ければ幸いです。みなさんよろしくお願いいたします。

第8回ネット句会 みなさんからの特選句へのコメントです!

第8回ネット句会、みなさんの特選句へのコメントをアップさせていただきます。今回は五島高資さんが参加してくれて選句もしてくれております。以下、順不同にてお許しくださいませ。また、コメントのコピペ落ちやコメントそのものの落ち・ダブり、または選者の間違いなどありましたら津野までご連絡くださいませ。


 
【五島高資】
特選101 身の内の芯熱りをり冬紅葉
寒さの中に燃えるような紅葉と自分自身とが体感的に共鳴して詩的昇華されている。


【亜仁子】
特句として、161番の俳句を選択致します。「小春日の下校の子らの足遅し」
この俳句の基底部は、「下校の子らの足遅し」です。学校を出て、家に帰る子供たちはヨチヨチ歩いて帰ります。家に帰りたくなくて、外に歩いたり、遊んだりしたいですね。何故でしょうか。この句の干渉部は、「小春日」です。これは、この俳句の季語です。この季語は、「下校の子らの足遅し」という基底部と一緒に、よく働くと思います。「小春」という季語の本意は、暖冬であり、日照り続きである冬の日です。地球温暖化のおかげで、最近は、沢山の小春の日があります。ですから、子供たちは、学校を出て、家に帰りながら外で歩いたり、遊んだりしたいですから、ヨチヨチと、ゆっくり歩いて帰ります。


【桑本栄太郎】
189)冬枯れやいささかつのる人嫌ひ
冬になり、野山も枯色が進み日毎に寒さが募ってくれば、少しづつ一年の終わりを感じて出掛ける事も億劫になるもの。冬枯れの時季の人の心情が、人嫌いとの措辞により巧みに表現されている。


【山岸八萬星】
特選は124。
「百円で何でも買える」ことと冬籠の取り合わせが意表をつかれました。想像するにこの冬籠りの人は懐具合が良くないけど、それでも明るい表情で冬に備える品を買いあさっているのでしょう。微笑ましい光景です。


【濱田美紀子】
◎特 87
これからやってくる寒さへの緊張感,寒さに備え自分の感覚を研ぎ澄まし自分の体を整えていくような雰囲気が好きです♪


【瓦すずめ】
特選156 裸木と認めぬ落ちぬ葉一枚 
裸木になりかけの木。その葉に一枚だけ残っている葉から叫び声をくみ取る感受性が非常に素晴らしいと思いました。


【髙橋雅城】
特選76 炉話の佳境に爆ぜる土佐の炭
炉を囲む風景は平凡でいわば、話し声もうまく聞きとれないようなモノクロームの光景で、そこへ偶然土佐の炭が爆ぜると、固有名詞が入ることによっていっきにその風景が色づきました。土佐の一言が炭の爆ぜる音やその赤さや熱さ、炉端の暖かさ、人の息づかいまで蘇らせるおもしろさをもった句だと思い、いただきました。


【十河智】
特選 27  年経ても、母の姿を追う自分にはっとすることがある。普段見馴れた故郷の山であろうか、共感を覚える。


【俣江美智子】
特選句64
動物園の檻の中でじっと目を閉じライオンは遥か彼方のサバンナに思いを馳せているのだろうか…。ライオンの意識の中に潜り込みそうな不思議な感覚。ライオンと冬麗がよく響き合っている。


【碩真由美】
42:腕時計はめる手首に今朝の冬
携帯電話を持つようになり、腕時計をしなくなってもう10年以上でしょうか。それでもこの句を一読して「そうだった」と、冬の朝の腕時計をはめた時のひんやりとした感触が「手首」にあったことを、はっきりと懐かしく思い出しました。選句の際、最後まで「112:冬ぬくし路地の奥までチンドン屋」と迷いましたが、自分自身の実感という点で42番を選びました。


【井伊辰也】
特選78 椅子ふたつテラスにならぶ小春空
素直な詠みっぷりが好きです。幸せを分けていただいた感じです。


【関野義高】
特選句 153:冬麗の朝水色のランドセル
水色のランドセルの子は、元気に歩いています。その足どりとランドセルの鮮やかな水色に作者は元気と清々しさを受け取り、冬麗の空気を胸いっぱいに吸い込む。充実した一日の予感すら感じられます。


【加納裕】
特選句139 どうしても座りの悪き林檎かな
この林檎には凹凸があり陰影がある。手触りがある。それを最少の要素で生き生きと表現する手法に俳句のエスプリを垣間見た。しかしこの林檎には色艶も甘い香りも無い。あえてそれを略すことにより林檎の抽象化にある程度成功している。この句は抽象画である。キュビズムを予感させるセザンヌの静物画を想起させられた。


【清水憲一】
特選46番
人は何気ない言葉によって傷つく。それが何度も繰り返されると心に突き刺さる針のようになる。そんな時熱燗をきゅうっと飲んで突き刺さった針も一緒に飲み込んで仕舞う。そのような詠者の行為に共感を覚えました。


【野島正則】
特選64.
百獣の王ライオン、冬うららと言う比較的新しい季語との取り合わせは、斬新。冬晴れの中でライオンは何を考えているのでしょうか


【山田紗由美】
特選:55
特選コメント:ムー大陸に対する神秘的眼が伝わる句だと感じた。


【谷原恵理子】
特選79 底冷えに足裏にぎる六畳間
寒い寒い部屋。足裏をにぎる、に切ないくらいの、寒さがありました。それに六畳間。一人暮らしの部屋ゆえの六畳間なのか。足をにぎる、とはなかなか言えないと思います。唇を噛み締めるような、底冷えに耐えている裸の足に、引き込まれました。


【大久保俊克】
155 反戦の詩


【茂木ひさを】
特選句:155
何を諦めたかは解らないが、一つの選択をすることにより、心の自由を得た。冬銀河がその選択の寂しさを表しているように感じた。


【檜鼻鬼旬】
特選 85 マネキンの笑みは変はらず初時雨
灰色に染まる季節のはじまり。一抹の寂しさを感じつつも、モノトーンの世界も美しく、硬質なマネキンの微笑に何故か感情移入しました。


【北野和良】
(特選)30 時雨来て小脇に隠す仏蘭西パン
フランスへ行った時に、夕方OLらしい女の子が長いフランスパンを小脇に抱えて帰るのを見て感動した。この句の作者も同じようにパンを抱えて帰る途中に時雨に出会ってしまったのだろう。雨に濡れないように慌てて抱え直している様子がコミカルに詠まれている。隠すの措辞がいい。


【渡辺すすむ】
特選句は185番「時雨るるや方言の交ふ街にをり」
方言が国訛りではないので、多分作者は東北などの訛りの強い地方都市での旅吟ではないかと思います。季語の「時雨」が情緒を醸し出して、街を行き交う人々の姿を見るようで佳い句だと思います。


【小酒井あゆみ】
特選 107 秋深し横にせしものやや動く
横にしたものが、ややでも動く事はないのでしょうが、そんな気になる深い秋…作者の繊細な感性が感じられました。そんな感覚が羨ましいです。


【坂上雲】
特選句27 ふくよかな母の背に似て山眠る
俳句ポストのお題で自分もいろいろ考えたのですが、冬の眠りについたような山々の稜線を「ふくよかな母の背」と見てとったその発想、発見がすてきだなあと思い特選にしました。作者はひょっとすると母を亡くしてまだ日が浅いのか、あるいは年老いた母親を一人残して遠くで暮らしているのかもしれません。きっと作者を深く愛し、慈しんでくれた母親なのではないでしょうか。自分も年老いた母親を介護しているので、なんだかこの句が胸に染みました。


大関博美】※番号29と記載があったため選句の際は29に加点してあります(by津野)。
特選28凡人の凡そなる日々日記果つ をいただきます。
誰しも凡夫を意識しながら懸命に生きている。その平凡な日々を凡そなる日々と洞察している作者の自分への客観的な見方が素晴らしい。その日々を日記を付けきることで唯一無二の存在として、結んでいるところに共感いたしました。


【山野辺草民】
特選句96 寒月やぽきんぽきりと飴細工
縁日などでぶっかき飴というのがあります。あるいは七五三の棒状の飴、あの固い飴を割る、かきんぽきんという音、寒月もきっとたたけばぽきんという音がしそう。冴えわたる冬の情景が感じられ、でも懐かしい飴細工にどこか温さがあり、いただきました。


【高尾美紀】
特選 64 瞑想に耽けるライオン冬麗
景がとってもよく見えました。百獣の王たるライオンの目をつむりたる様子は、まさに、瞑想という措辞にふさわしいと感じました。木陰に群れるサファリパークのライオンを思い出しました。とっても好きな句です。ライオンを見つめる作者の視線が好きです。


【佐藤日田路】
特選 173
選評 子供でしょうか、背伸びして手伝おうとしているとした姿が目に見えるようです。身丈→背丈として、より景が素直に映るような気がします。


【手塚偉智朗】
特選 鯛焼と姑の口への字かな
今回も、どの句も秀作揃いで選ぶのに悩みました。特選に撰んだ句は、景が見え、俳句の醍醐味たる俳諧味を、感じました。詠み終えて、クスッと笑えるユーモアを含んでいます。ほのぼのとした気持ちにさせてくれる、良い御句です。


【村上ヤチ代】
特選・113
懐かしい風景を感じました。


【山中みきを】
特選 118
もう正月準備ができてるのか・・うらやましいなあ。そして、その上、光をやさしいと感じる心の平穏もある。幸せである。


【牧内登志雄】
特選196:百歳に大根が引けるかどうかはともかく、抜こうとした大根に手を持っていかれながらも、しっかと捉まえている手の皺までが想像できる句ですね。


【菊池洋勝】
特選◎42の選評
携帯電話に時計やカメラが付いているので腕時計を着けるチャンスがない時代に。在宅療養の現場では脈を取ったり臨終の時刻を確認したり看護婦や医師にはまだ腕時計は外せないアイテムです。仕事で使う腕時計は色んな状況に遭遇するから高いものではないようです。プラスチックやシリコンバンドのものを良く見ました。この句に詠まれている腕時計は何か所縁のある逸品を想像しました。腕時計を着けるのに捲った袖口に入る冬の風と金属バンドが皮膚に触れた時の冷たさが出勤前の朝の緊張感を生んでいます。日常の一瞬を切り取った若い感性を思いました。


【川岡末好】
<特選>59 木守柿だけの出迎へ郷の駅
41番句「設へは詫び助一輪茶事の席」も俳味、侘び寂びがありとってもいい句だと思いましたが、「詫び助」の表記が違うように思いましたので残念ながら特選にはいただきませんでした。5句の中には入れさせていただきましたが。さて、59番句ですが、久々に故郷に帰って来られたのでしょうね。そして駅のホームに下り立った。ホームには人影もなく最初に目に入ってきたのは一つだけ実が残された柿の木。もう冬に入り寒さもいよいよ増す頃。本来「木守柿」にはいろいろな意味がありますが、そうでなくとも鄙びた田舎、侘びや寂び、また故郷を離れて生活している者にとっては大変懐かしく、愛しささえ感じるものではないでしょうか。その柿の木が作者を出迎えたんですね~。「木守柿だけの出迎へ」、作者は誰にも告げず帰郷して来たのかもしれません。また「郷」とこの漢字を使われたのも何か作者がこの句に込めたかった気持ちがあるように思います。さて、作者はこれからどうするつもりなのでしょうか?何の為に帰って来たのでしょうか?そういう感じさえ読む者に与えてくれる句だと思いました。そこに私も共感してしまったのでしょう。


【遠音】
<特選>146 咳九十焼夷弾百有る話
秀句が多く悩みましたが、この句を特選に頂いた決め手は、重量感です。ほぼ漢字のみという視覚的な威圧感もさることながら、「咳」が九十、「焼夷弾」が百、と畳みかける展開、語句選びに圧力を感じました。「咳」は冬の季語ですが、ここではむしろ余生の長くない老人を彷彿とさせます。そんな苦しい咳の合間から語る、生々しい焼夷弾の話。戦争の重さが、冬の肌をざらつかせるように迫ってきます。重苦しさ満載の句ですが、しかし九十、百とことわざのように語呂よく数字が跳び、「有る話」という体言止めが現在進行形ではない昔のお話、という時間の間隙を生み、句に軽やかさを生み出しています。一読後、心に残ってなかなか消えない一句でした。


【剣持政幸】
33を特選にしました。
寂しさを感じました。造られた過程とか、哀しみの記憶など、時間がたつにつれ薄れていることを如実に描写している庭落ち葉に見受けられました。お墓の光景なら、もっとしみじみとしたものが伝わると感じます。


【津野利行】
◎197 引力も神も見へざり木の実降る
採らせてもらっておきながら今更なんですが、この句の「ざり」とは打消しの意味を表しているのですよねえ?「引力も神も見えなかった」と・・・。ただただ木の実が降ったということを、「見えない」ということで逆に見えてくる感じがうまいなあと思いました。読み方が間違っていたらすいません。


【歌代美遥】
特選173


【西村楊子】
※特選選ばず


 

いかがでしたでしょうか、作句も難しいですが、読みもとっても難しいですよね。特選句以外の選などにつきましては、宜しければブログコメント欄や各自FBページなどにて反省会をしていただければ幸いです。また、次回お会いしましょう、ありがとうございました。

 

俳句大学ネット句会担当/津野利行

【管理人:元 俳句大会通信教育学部ネット句会科/津野 利行】