俳句大学のネット句会用のブログです。このネット句会への参加資格は、Facebook内で俳句大学に「いいね」を押して頂いた方や俳句大学投句欄のメンバーの方、あるいは実際に俳句大学の講義を受講された方、またFacebookはやってないけどこのネット句会を知り、俳句大学の趣旨に賛同にして頂いた方(俳句大学の趣旨はリンク先の「俳句大学」のHPをご覧くださいませ)となっております。あまり固いことを言うつもりはございませんが、俳句が好きだけど様々な事情で句会に参加しにくい方や、所属する結社以外の方と句会を楽しんでみたい方など、多くのみなさんとこの場で句会を楽しんでいけたらと思っております。前記の条件だけで基本的にどなたでも参加可能ですが、一応大学と名乗らせてもらっている以上、ある程度の俳句の知識、そして向上心をもって取り組んで頂けたら幸いです。私自身もこの場でみなさんと一緒に楽しませて頂きたいと思っております。また試行錯誤しながら運営をしていきますので至らない点があろうかと思いますが、なにぶんご理解の上ご協力頂ければ幸いです。みなさんよろしくお願いいたします。

第7回ネット句会 みなさんからの特選句へのコメントです!

第7回ネット句会、みなさんの特選句へのコメントをアップさせていただきます。順不同にてお許しを、また、コメントのコピペ落ちやコメントそのものの落ち、または選者の間違いなどありましたら津野までご連絡くださいませ。

 


【瓦すずめ】
特選174 燈火親し父に丁稚の時有りて◎
秋の夜長に燈火の下で、お父様の過去をアルバムでみるなり、あるいはお父様自身から話に聞くなりしているのでしょう。丁稚の時と書くことで、お父様の年や子の句に読まれている時代がなんとなくわかります。また、お父様への興味が湧き、想像力を働かせることもできます。はっきりとは書いていない、にもかかわらず、想像を膨らませることのできる、素敵な句だと思いました。


【小島寿々】
特選・166
まるでアンリルソーの絵画を見ているようです。素朴なお父さんがあたたかく無骨でなんともなつかしい。


【西村楊子】
特選193の感想。
ときどき庭の手入れをしに来る父がいるのだろか。そこにいるだけで庭の風景と同化する父。それを見ている眼差しがやさしい。菊日和よりゆるやかな萩日和がいい。今日は盛りの萩もバイプレイヤー。


【桑本栄太郎】
159)父といふ肩巾ありし秋祭
子供にとって自身が何歳になろうとも父の想い出とは、大きくて頼もしい父親の肩巾であろう。後ろ姿の肩を見て育ち、時には背負って貰った大きな肩巾を決して忘れる事はありません。秋祭に負ぶって貰った肩、先を行く父の肩を目印に見物しながら付いて回った懐かしさである。


【加納裕】
特選は47 一度だけただ一度だけ林檎噛むといたしました。
以下に鑑賞文を記します。
林檎は禁断の果実である。貞操観念のメタファーであり、善悪を識る果実である。イブは蛇にそそのかされ、神に禁じられていたこの実を食べ、かつアダムに分け与え共犯関係となる。結果無垢は永遠に喪失し追放されるのだ。この禁断の実を噛むことを覚悟したこの詠者は女性であろう。覚悟を決めたおんなの旋律は美しい。この句にはスペースがある。音楽でいう休符だ。ここを鳴らし切れれば名曲となり得る秀句である。また特徴的な上五から中七へのリフレイン。平板ではなく、結びに向かい抑揚を感じる。この静かなダイナミクスこそがこの句をして特選せしめるものである。


【大久保俊克】
158 喜びが伝わる


【井伊辰也】
特選:116 星合の空に行き交う夜行便
古代と現代の恋愛事情の対比であり、また、ロマンティックとリアルという対比でもあり面白い。


【濱田美紀子】
特選 59 「かたりと」にやられました。終わりゆく秋が,かたりと静かな幸せのいたずらをして去って行くような。小さなきっかけから思いが伝わり,始まるようなうな予感が好きです。


【関野義高】
特選句 17
選評:人体の大半は水から成ります。ですから、秋日が濃くなっていくのは恋占いをする詠み手の体内も同じなのです。冷静に占いながらも身体は熱を帯びてゆき、心も動き始める。そんな光景がこの句から感じられます。


【山岸八萬星】
特選は 144。
宇宙にもやはり百物語で幽霊は出てくるのか? また、ずっと宇宙でひとりぼっちの身からしたら、幽霊でもいいから誰か出てきてほしいのかもしれません。


【亜仁子】
一番いい一句として、34番の俳句をお選びしました。
この句の基底部は、「ひと駅を歩く別れや」です。人々は駅を歩いて、旅行のせいで、別れなければなりません。恋人は仕事のために旅行をしてしまって、寂しくて、悲しくなります。干渉部は、「秋しぐれ」であり、この俳句の季語ですね。時雨は、秋の終わって、冬が始まる頃に降っている雨であり、地球温暖化のせいで、最近はなかなか降っていません。この俳句を読みながら、芭蕉の「草枕犬も時雨るる夜の声」という俳句を思い出しました。芭蕉も、旅行をしながら寂しくて、時雨の音を聞いて、淋しさが募りました。時雨の音が身にしみるんですね。ですから、34番の俳句にも、「秋しぐれ」という季語がよく働くと思っております。


【清水憲一】
特選199番
この句は、詠者の少年時代の想い出だろう。昔の親父は普段は無口だが、何かこちらが世間様に恥じるような行為をすると本気になって叱って呉れた。つまりげんこつが飛んできた。そのような今風の優しい父親に比べると無骨な振る舞いの昔の親父が、どこかごつごつした榠櫨の実と響き合っている。私も亡き父から鉄拳を喰らった者として共感の一句であった。


【渡辺すすむ】
特選は「54」です。
今回は甲乙つけがたい佳い句ばかりで選句に大変迷いました。そんな中で季語の「後の月」を詠まれた御句に大人の恋の魅力を感じました。「愛されかたも忘れたわ」の言葉に過去の出来事が凝縮されて、俳味のある素敵な佳い句に仕上がりました。きっと沢山の恋愛経験をお持ちの方ではないでしょうか!?。また、惜しい句に7の「釣瓶落とし」が「鶴瓶落とし」と記載されていたのがなんとも残念でした。もし「釣瓶落とし」だったら特選に選んでいたかもしれません。


【山中みきを】
特選 133
う~ん、そうかも知れぬ。科学なんてどうでも良い、この星空があれば。


【恩田富太】
<特選>100 もう会はぬ人のまなざし天の川
まず、会えぬのではなく、会わぬという決意があり、それでも面影を求めずにはいられない。銀河を見上げる姿に面影を求めたところに、隔たりの大きさが表れるようで、胸が詰まります。この句の印象がさらに強まったのは、もう会わぬことに、SF的な隔たりまで空想させられたからでした。


【小酒井あゆみ】
特選 196 幻月や吾もまた一人の父であり
幻月とは、本当の月ではなく暈のような現象の月だと思う。作者は自分が父であるということを幻のように、また父には相応しくないと思っているのだろうか…母と違い父は自分が産むわけではなく信じるしかない存在でもある。考えさせられるし、そこはかとない哀しみを感じる句である。


【檜鼻鬼旬】
特選 160 手袋の父の形に残りをり
「作者の父親に対する尊敬、慈しみ、愛情の念を深く感じました。こういった気持ちを、言葉にして父に伝えることは、気恥ずかしさもあり、なかなかできないものです。素直に共感するところの多い句でした。」  よろしくお願いいたします。


大関博美】
特選 30「この街に恋得し日々や酔芙蓉」
学生時代から過ごした街で恋をし、そして酔芙蓉の花が色を変えるように過ごした日々を振り返っている作者。恋の行く末がどうなったのか、いろいろ想像してしまいます。さわやかな御句です。


【熊谷房子】
特選212祖父となる父の饒舌新走
季語の良く効いた俳句ですね。新走で饒舌になったお父さんの喜びが読み手にも伝わってきます。


【坂上雲】
特選178
「父」という言葉を使わず、破調でありながら、父がどんな人かが温かく伝わってくる。散文的なのだが、かえって味わい深いような気がして、あえて特選にしてみました。


【大川典巨】
特選:34
恋愛句は佳句が多く、皆さんの意気込みが感じられましたが、とても素直に詠まれた掲句に青春時代の失恋の思いがまざまざと蘇りました。


【北野和良】
特選 158
蓮の花は夜明け前に咲く。咲く時にポンと音がするのだという話もある。作者の初めてのお子さんも夜明け前に生まれたのだと思う。期待を持って待ち構えている時に「お生まれになりましたよ」との知らせがくる。赤ちゃんが蓮の実が飛び出すように生まれたと実感され、自分もいよいよ父親になるのだと感慨を覚える。男なら誰でもが思う瞬間をよくとらえた句です。


【宮野緒幌】
特選 ◎159 父といふ肩巾ありし秋祭
父の背中~などの言い回しは良くありますが、「肩巾」ととらえたところが面白く、また、逞しいお父さんを想像しました。「ありし」と過去形にしていることから、昔、子供の頃秋祭りに連れて行ってもらった、思い出のことだと感じました。 もしかしたら肩車などしてもらっていたのかもしれません。温かい気持ちになりました。


【十河智】
特選 44
恋の始まりなのか、終わりなのか。「秋の海」とは、どうも「終わり」のように思われるのだが、その曖昧さがよかった。


【牧内登志雄】
特選句 34 ひと駅を歩く別れや秋しぐれ
別れがたく「もう一駅」を歩くのか、「この一駅」で最後の別れとしたいのか。そんな別れの時の秋時雨。私を含めて同じような経験をした人も多いのでは。


【俣江美智子】
特選 153
親の背(特に父)を見て子は育つ、の逆手を取るような物言いながら木守柿によって、深いところで繋がる父子の絆を強く印象づけられ、沁々と響きました。


【山野辺草民】
特選202
父の衰えを感じる時、寂しい半面親子の距離がグッと縮まった感じがします。そんな瞬間をよく捉えた句だと感じました。父が存命なら私もこんな句を詠んでみたかった。


【村上ヤチ代】
特選・7
「強制終了」という言葉のインパクトにひかれました。


【遠音】
<特選>178 世渡りが下手で秋刀魚が大好きで
一読して、父への愛が海のようにあふれてくるのを感じました。平易なことばで、リズムカルに、一昔前のような威厳はないかもしれないけれど親しみのある「父」の姿を見事に詠いあげています。お題が「父」であることが示されなければ或いは他の家族や近しい人への思いにも取れるかもしれません。けれど、対象がはっきりしないとしても、このあふれくるあたたかなきらめき、詠み手のふくよかな笑顔がこちらの胸にわき返るような心地よさに、特選に採らせていただきました。


【谷原恵理子】
特選 111番 宅配の天地無用や秋高し
宅配の天地無用という張り紙はよく見る光景です。作者は、平凡なその張り紙から、詩を伴う高い空へ心を飛ばせています。天地無用という潔さが、天高しと響き合い、この言葉を切り取った作者の気持ちが、この句の眼目と思います。スカッとした空がこの句の中にあると思い、もう一つ、野分あと山の匂いの父の墓、とどちらを特選に選ぶか、悩みました。どちらも素晴らしいですが、やはり宅配の天地無用に、斬新で揺るぎない日常への目と、切り取りの大胆な力を感じ、このお句を特選に選びました。


【高尾美紀】
4 恋一つポンと浮かべて月見酒
ポンの音が、いかにも楽しげでとっても好きな句です。そんな風に、月見酒してみたいな~~。


【川岡末好】
<特選=67>この人と生きて行きます秋桜
*「この人と生きて行きます」、作者にとって一世一大の所信表明だと思います。それを詠んだ、これこそ俳句だと思います。そして「秋桜」という季語の措辞。コスモスは強い風に吹かれても意外と風をいなしながら結構健気に立ってます。細い茎ながら意外と芯の強いもの。取り合わせも上手だと思います。内容は確かにありがちなものですが、作者の今の偽らざる心境であるならば全然OKです。詠み口も素直でストレート、俳句はそこから始まるものだと思っております。


【中川洋子】
特選33
よろしくお願い致します


【山田紗由美】
107特選
小鳥来るが未来への期待を彷彿とさせる。


【佐藤日田路】
特選190   その中に父の聲ある芋煮会
今回のテーマのせいか、全体に抒情過多な句が多いように想われました。その中で、作者のさりげなく父を想う気持ちが表現されていて、心地よい。関西在住で、芋煮会の経験はありませんが、バーベキューより季節感があっていいですね。季語が生きています。


【野島正則】
特選9 先生の恋の話や秋茜
学校を卒業して、同窓会で先生と生徒が、恋の話を語り合っているのだろうか。先生も自身の経験をかつての生徒に語り出す。微笑ましい光景と感じた。


【手塚偉智朗】
特選 178 昔、死んだ親父の寂しそうな背中を思い出します。秋刀魚も好きだったなぁ。とても良い御句です。


【津野利行】
特選:47 一度だけただ一度だけ林檎噛む
「ただ一度だけ」というところに、並々ならぬ決意を感じますね。ちょっとアバンチュールを連想させるタッチの句、こういう句好きなんです♪

 

 

いかがでしたでしょうか、私自身もみなさんの読み、コメント、大変勉強になりましたし、楽しかったです。なるほどな~そう読むのか~と、採らなかった句がえらいよく見えてくるのがまた俳句、句会のいいところでもあろうかと思います。特選句以外の選などにつきましては、宜しければブログコメント欄や各自FBページなどにて反省会をしていただければ幸いです。また、次回お会いしましょう、ありがとうございました。

 

俳句大学ネット句会担当/津野利行

【管理人:元 俳句大会通信教育学部ネット句会科/津野 利行】