第3回ネット句会 講師選発表！

第3回ネット句会、俳句大学の講師の永田満徳、五島高資、中山宙虫のお三方に選句をして頂きましたので下記にアップさせていただきます。

★永田満徳選

【特選】
73 生きていることはリハビリ桜桃忌　坂上雲
本来は「生きていることは」辛いことの方が多いのであるが、「リハビリ」、或いは修行であると思えば、気が楽になることに気づかせてくれる。死に急いだ太宰治の忌日「桜桃忌」は「生きる」とは何かを考えさせる点で効いている

【秀逸】
31 食パンの黴つんつんとこそげをり　村上ヤチ代
44 ちょこちょこと溝行くものに雀の子　十河智
77 梅雨の色クレヨンどれを選ぼうか　牧内登志雄
89 メロン切る情報過多の星を切る　山岸八萬星

【佳作】
5 かちかちと音立てて来る生ビール　井伊辰也
14 石仏のうつらうつらと青蜥蜴　高尾美紀
21 スイスイと煩悩避けるあめんばう　北野和良
46 熱々のカレーゴロゴロ夏野菜　野島正則
64 坊っちゃんのカラクリ時計心太　北野和良

★五島高資選

【特選】
89 メロン切る情報過多の星を切る　山岸八萬星
インターネットの普及によって情報が氾濫する地球。それが眼前のメロンを切る体感的感覚によって快刀乱麻への思いがうまく詩的に共鳴している。

【秀逸】
81 木下闇より乗るタイムマシンかな　津野利行
25 となりから鼾ぐぐふふ桜桃忌　山岸八萬星
71 万緑の息を吹き込むトランペット　佐藤日田路

【佳作】
3 夏椿乳首やはやは野の湯かな　牧内登志雄
14 石仏のうつらうつらと青蜥蜴　高尾美紀
52 大南風テトラポットにある潮位　熊谷房子
58 夕焼けを車に乗せてハイウェイ　手塚偉智朗
105 明易しゴジラ吠えたる歌舞伎町　大川典巨

★中山宙虫選

【特選】
14 石仏のうつらうつらと青蜥蜴　高尾美紀
石仏も作者も炎天にうつらうつらと。大分県臼杵市の臼杵石仏の石仏群をめぐっているとこのうつらうつらがよくわかる。語りかけてくるわけでもない石仏。しかし、何か語りかけてきそうな時間を石仏と共有している気がする。そこに青蜥蜴。はっと現実に返る。青蜥蜴の生へのきらめきが石仏の前でなまめかしい。「青」がとてもよく効いている。

【秀逸】
10 口癖はピーヒョロ母のひとりごと　小島寿々
105 明易しゴジラ吠えたる歌舞伎町　大川典巨
131 藍染の阿波の機音夕立過ぐ　山野邉草民

【佳作】
49 砕石を積みてミゼット麦の秋　川岡末好
90 セクシーを1％程水羊羹　高尾美紀
92 トルソーの宙に浮かべる夏帽子　佐藤日田路
127 夏木立抜けていきなり由比ヶ浜　津野利行
134 送らるる白靴一人上野駅　目黒航

以上です。
お三方ありがとうございました！