俳句大学のネット句会用のブログです。このネット句会への参加資格は、Facebook内で俳句大学に「いいね」を押して頂いた方や俳句大学投句欄のメンバーの方、あるいは実際に俳句大学の講義を受講された方、またFacebookはやってないけどこのネット句会を知り、俳句大学の趣旨に賛同にして頂いた方(俳句大学の趣旨はリンク先の「俳句大学」のHPをご覧くださいませ)となっております。あまり固いことを言うつもりはございませんが、俳句が好きだけど様々な事情で句会に参加しにくい方や、所属する結社以外の方と句会を楽しんでみたい方など、多くのみなさんとこの場で句会を楽しんでいけたらと思っております。前記の条件だけで基本的にどなたでも参加可能ですが、一応大学と名乗らせてもらっている以上、ある程度の俳句の知識、そして向上心をもって取り組んで頂けたら幸いです。私自身もこの場でみなさんと一緒に楽しませて頂きたいと思っております。また試行錯誤しながら運営をしていきますので至らない点があろうかと思いますが、なにぶんご理解の上ご協力頂ければ幸いです。みなさんよろしくお願いいたします。

第9回ネット句会 選句お願いします!

俳句大学の第9回ネット句会に、多数のご参加いただきありがとうございます。下記をよく読んで選句してください。

 

まずは投句した自分の句があるかどうか、そして投句した句と違ってないかチェックしてみてください。間違いなどがあったら下記の選句受付開始時間までに津野まで連絡下さい。
選句は投句と同様に、ブログのコメント欄に記入頂く、またはFacebookの津野へ直接メール頂くの方法で、他人にわからないようにお願いいたします。

 

選句受付開始:平成27年12月19日(土)午後8時

選句受付締切:平成27年12月23日(水)午後11時45分

 

参加者は下記の20名(津野入力順・敬称略にて)です。
坂上雲、津野利行、酒井おかわり、佐藤日田路、手塚偉智朗、、十河智、高橋亜紀彦、山岸八萬星、亜仁子、瓦すずめ、大関博美、桑本栄太郎、西村楊子、加納裕、関野義高、小酒井あゆみ、遠音、瘋癲老人、熊谷房子、清水憲一、北野和良、檜鼻鬼旬、渡辺すすむ、村上ヤチ代、五島高資、山野辺草民、比々き、川岡末好、山中みきを、野島正則、牧内登志雄、隣安、井伊辰也、武藤隆司、永田満徳、菊池洋勝、藤川都、宮島敦子、高尾美紀、碩真由美

 


選句方法:選句は番号でお知らせください。
五句選で、うち一句特選を選び、特選句の選句理由や感想などのコメントを添えてください。

 

 

句は作者を伏せてテーマごとにランダムに並べてあります。

1 最終便見送る人の大晦日
2 みみだけが大きくなって年の暮
3 ずるずると延ばしに延ばし年の果
4 墓参りを母に誘われ師走かな
5 数え日のしかたなくする掃除かな
6 春支度隣の猫も顔洗ふ
7 イエスタデーワンスモアとや年惜しむ
8 とし木売りねぎらふ頬の薄紅く
9 水無しも蝦蛄葉仙人掌咲きにけり
10 賀状書く頼みの綱のプリンター
11 大晦日バイトの巫女のピアス痕
12 座り良き体言止めや鏡餅
13 カランカランカラン当たりましたと年の暮
14 年の夜の緋文字一冊持ち越さず
15 年の際けふ履いていくパンツ何処
16 救世軍の金の釦や慈善鍋
17 極月の壁に重ぬる暦かな
18 ギザギザの丸をつかみて日向ぼこ
19 煤払ひ捨てかねてゐるエアメール
20 隙間風はたと気がつく猫の留守
21 小さめの盃ふたつ年の夜
22 数へ日の居場所追はれて映画館
23 反省は猿でも出来る日記果つ
24 お茶漬けで済ます昼食年詰まる
25 素っ気なく届く封書や年の暮れ
26 年詰まる誤字のままなるお品書き
27 ライオンの哲学者めく師走かな
28 年の瀬や聞かれちゃならぬ独り言
29 年の瀬や厠待ちする車椅子
30 古暦十一月を道連れに
31 愛も叉煩悩なるや除夜の鐘
32 大門を閉めて廓の年一夜
33 終相場気楽な肩にけふの風
34 年の瀬やまちがひ電話よく鳴って
35 振り返るボイジャーの目や星冴ゆる
36 思い出の在庫一掃年暮るる
37 神棚の年末ジャンボ宝くじ
38 常磐木の庭に鎮もる万両忌
39 煤逃の吹き溜まりおるパチンコ屋
40 歳の市手を曳く孫は妻の靴
41 新巻を切り身におろし年用意
42 吾の帰郷待つ人なくて年の暮れ
43 落語聴き江戸の節季を想ひをり
44 冬休み何をやろうか悩みけり
45 世話役の皺深くなり除夜詣
46 賀状書きことしは三枚余しけり
47 年越しのスルメの足の残りそむ
48 南国へ脱出したき年の暮れ
49 年の暮上野の隅の国訛り
50 一日は二十二時間年の暮
51 年の暮平らな道を歩きけり
52 極月の爪切るときは息殺し
53 ボーナスを出して肩の荷下しけり
54 数え日や指に刺さりし銀の針
55 犯人は次ページに消ゆ去年今年
56 世を忘れ世に忘れられ除夜の鐘
57 雑踏の中に佇み年の暮
58 孫の数新札揃へ年迫る
59 年の瀬や身に覚え無き青い痣
60 忘年会中もツイートばかりして
61 蓄へも借金もなし暦果つ
62 年の瀬や小走りになる小買い物
63 熱燗や見ざる言わざる聞き上手
64 年の瀬や無限に欲しい時と才
65 くんずほぐれつしつ帰る忘年会
66 群れなして雲の広ごり年暮るる
67 沈みゆくワインの濁り年の果
68 年の瀬や予防注射を延期する
69 年の瀬のアメヤ横町息粗し
70 歳暮とは無縁の身なり有難し
71 忘却の数だけ生きて年の果
72 岬にて道草を食ふ師走かな
73 また減りし歳暮の数や茶を啜る
74 とめどなき流れのなかの社会鍋
75 口ぐせは冥土の土産ふぐと汁
76 神棚の雲の字あらた空晴れる
77 弥次郎兵衛意思持つごとし大晦日
78 共にゐる妻何思ふ除夜の鐘
79 効能をたのみ泥付き葱を買ふ
80 年暮るる堂島雀の長電話
81 人惜しみ名残を惜しみ年惜しむ
82 トナカイに乗って帰らむ年の暮
83 極月や小さき罪のこと想ふ
84 歳晩の漢字一文字なる世相
85 終電を諦観しをり年忘れ
86 物指の縁を拭き取り年暮る
87 年木積むこの懊悩の数ばかり
88 心拍のモニタ見つめて年を越す
89 人なつっこいべ津軽の初日の出
90 行く年や祖母の九十五年かな
91 居ながらにインターネット年用意
92 出番待つ金平糖も年の暮れ
93 数え日や「猫が孫よ」と母の笑む
94 行く年を本気とせざる鳩時計
95 年の瀬を背負ふて西の展望台
96 里山の去年に降り積む今年かな
97 年の瀬や月と見送る終電車
98 年の瀬の上野の山の西日かな
99 歳晩や犬の眠りは深かかりき
100 年の暮小さな村に来てをりぬ
101 小さき手が入るるコインや社会鍋
102 万両やささやかな夢籤を買ふ
103 腰ぎくと軋む音する年の暮
104 歳晩やいささか届く地代金
105 吾が漢字「転」を選びし年の暮
106 段取りの整ふことも年用意
107 冬至梅香で部屋を満たしけり
108 忘年忘れずにのむウコン錠
109 まなうらに数字の並ぶ年の果
110 七星の抛つ闇や除夜詣
111 京町家裏に干されし河豚の鰭
112 年の瀬の膝へと渡る湯船かな
113 百歳にまだ三十年日記買ふ
114 年の瀬に間に合って検便を出す
115 年の瀬や使うあてなき我が脂肪
116 アフターの駆くる年の瀬紅薄れ
117 恋情は断ち切る定め年つまる
118 思案六法五年連記の日記ふ
119 綿虫や日陰り早き服喪の家
120 馬小屋に明かりの点る聖夜かな
121 赤飯を炊きて日本のクリスマス
122 樅の木にちらちら雪の舞ふ夜かな
123 クリスマス休暇帰国の姉の声
124 焼け跡派すでに死語なりクリスマス
125 父さんの癖とおんなじ「サンタより」
126 クリスマスツリー托鉢僧鳥居
127 光満つ聖夜の影の現実かな
128 手をつなぐ人の形の聖菓かな
129 誇大に破くクリスマスプレゼン
130 クリスマスソング悲しき商店街
131 巡回の医師の髭濃し聖夜なり
132 クリスマス嬰児にありし尾骨かな
133 ほどきたるリボンと踊りクリスマス
134 信仰を持たぬ者にもクリスマス
135 父母ありて我あるけふのクリスマス
136 赤鼻はピンポン球の聖し夜
137 欲しい物なんにも無くて聖夜かな
138 クリスマスわれも生まれし日であれば
139 明るきと暗き窓あり聖夜の宿
140 アマゾンで届く聖夜の別れ花
141 宇宙より帰還飛び込む聖樹林
142 野良猫の路地裏集ふクリスマス
143 去りし朝ポインセチアを食卓に
144 クリスマス中止のお知らせ届きけり
145 聖夜劇初めに小さなヨゼフ出て
146 クリスマス神に捧げる人の歌
147 鬼門向く聖菓の上の家の味
148 クリスマス気分スマホの中にあり
149 聖樹買う涙を拭わないうちに
150 坂道のルルドの泉クリスマス
151 ちろちろと悋気の焔聖誕祭
152 玄関の明るい家のクリスマス
153 聖夜くる海賊版ジョン・レノン
154 シュトレーンと君と子のゐる聖夜かな
155 だましてた訳じゃないのよポインセチア
156 流されぬように聖樹の聳え立つ
157 しずしずとサンタクロース後退
158 一人寝のジングルベルの音冴ゆる
159 クリスマスソング流れる手術室
160 クリスマスすべての神に手を合はす
161 禅僧の笑まひて「メリークリスマス」
162 星の夜に星を飾れる聖樹かな
163 早々とサンタは仕事終わらせて
164 聖夜劇信ずるものを思ひ出す
165 ひとり子の運命(さだめ)祈りに待降節
166 床揺らす洗濯器の音クリスマス
167 一切れのケーキ仲良くクリスマス
168 子供部屋聖樹が照らす忍び足
169 狼の遠吠えホワイトクリスマス
170 クリスマス街の喧騒ただならぬ
171 新しきエプロンの妻クリスマス
172 讃美歌を口遊みもしクリスマス
173 聖夜劇イエス三人出番待つ
174 ただ一度うぬぼれてみる聖夜かな
175 高僧も孫にかこつけクリスマス
176 園長のサンタクロース見破られ
177 おゆび待つ聖夜の箱に咲くりぼん
178 物売りの声かすれをりクリスマス
179 恒例のトナカイの役板に付き
180 砂漠行くシーツ見届け聖夜劇
181 言の葉てふ星留めたる聖夜かな
182 エンヤ聞く何とはなしにクリスマス
183 聖夜なる歯磨きの音橇の音
184 等分に執着しすぎ聖菓かな
185 小児棟医師がサンタのクリスマス
186 クリスマスケーキの予約間に合わず
187 晩年は人恋しくてクリスマス
188 発車ベル「引き止めてよ」とイブの夜
189 新しき爪の迎へる聖樹かな
190 野良猫へ餌並べ置くクリスマス
191 右頬を差し出しなさいクリスマス
192 恋人と二人っきりで聖夜かな
193 レジ打ちのサンタの睫毛カールせり
194 聖誕祭いま人形は産気づく
195 樹もビルも河さへ飾るクリスマス
196 堕天使の羽胸に秘めクリスマス
197 出窓には我も人なりポィンセチア
198 母国語の電話泣き出す聖夜かな
199 銀色の翼休めてクリスマス
200 クリスマス不確かなことさておきて
(以上)

第9回ネット句会 開催いたします!

俳句大学がお届けする第9回ネット句会。今回も日ごろお目にかかれないみなさんと、この場を通じて句会を楽しみたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

 

 

『俳句大学・第9回ネット句会』

 


【兼題】
五句セットで出し、五句選でお願いします。

1.「年末・年の瀬」系の季語で三句
2.「クリスマス」調の季語で二句
上記の通り、合計五句をセットにして投句願います。


ちなみに、今回も講師の先生方にも句会への参加をお願いしております。
何名かは参加してくれるかもよん、お楽しみに♪

 

【投句締切】
平成27年12月17日(木)午後11時00分

 


【投句方法】
1.なるべく、このページの『コメントを書く』欄へ記入にて投句願います。投句受付時のコメント欄は非公開になっているので、管理者のみ閲覧できるように設定してあります(句会終了時に一斉公開とさせて頂きます)。
2.ブログコメント欄への投句が困難な方に限り、Faebookの津野利行宛にメッセージにて投句してください(私と友達登録をしていなくてもメッセージを受け取れるようになっております)。

 


【注意事項】
1.投句は必ず五句セットにて出してください。また選句も必ず五句選にてお願いいたします。
2.投句は一度にまとめてしてくださるようにお願いします。ばらばら送られるとミスの元ですのでご理解くださいませ。また、一度投句して頂いた句の訂正、取り下げはできません。前述六句以上投句の順位変更もNGとさせて頂きます。
3.投句頂いた句はネット上に公開されてしまうので、応募作にしたい句などの投句にはご注意ください。
4.投句の際には必ず名前を書き添えてください。俳号でも本名でも構いませんが名前をフルネームで書き添えてください。「永田満徳」、「五島高資」など下記のように『最後に一度だけ』書き添えてください。全句の後に記名頂かなくて結構です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
《投句例》
まだ奥に部屋ありそうな水羊羹
星の夜や井戸は海へとつづきけり
夕立にならんで公務員である
五島高資
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5.その他ご質問は津野までよろしくお願いいたします。

 

ネット句会担当:津野利行

第8回ネット句会 みなさんからの特選句へのコメントです!

第8回ネット句会、みなさんの特選句へのコメントをアップさせていただきます。今回は五島高資さんが参加してくれて選句もしてくれております。以下、順不同にてお許しくださいませ。また、コメントのコピペ落ちやコメントそのものの落ち・ダブり、または選者の間違いなどありましたら津野までご連絡くださいませ。


 
【五島高資】
特選101 身の内の芯熱りをり冬紅葉
寒さの中に燃えるような紅葉と自分自身とが体感的に共鳴して詩的昇華されている。


【亜仁子】
特句として、161番の俳句を選択致します。「小春日の下校の子らの足遅し」
この俳句の基底部は、「下校の子らの足遅し」です。学校を出て、家に帰る子供たちはヨチヨチ歩いて帰ります。家に帰りたくなくて、外に歩いたり、遊んだりしたいですね。何故でしょうか。この句の干渉部は、「小春日」です。これは、この俳句の季語です。この季語は、「下校の子らの足遅し」という基底部と一緒に、よく働くと思います。「小春」という季語の本意は、暖冬であり、日照り続きである冬の日です。地球温暖化のおかげで、最近は、沢山の小春の日があります。ですから、子供たちは、学校を出て、家に帰りながら外で歩いたり、遊んだりしたいですから、ヨチヨチと、ゆっくり歩いて帰ります。


【桑本栄太郎】
189)冬枯れやいささかつのる人嫌ひ
冬になり、野山も枯色が進み日毎に寒さが募ってくれば、少しづつ一年の終わりを感じて出掛ける事も億劫になるもの。冬枯れの時季の人の心情が、人嫌いとの措辞により巧みに表現されている。


【山岸八萬星】
特選は124。
「百円で何でも買える」ことと冬籠の取り合わせが意表をつかれました。想像するにこの冬籠りの人は懐具合が良くないけど、それでも明るい表情で冬に備える品を買いあさっているのでしょう。微笑ましい光景です。


【濱田美紀子】
◎特 87
これからやってくる寒さへの緊張感,寒さに備え自分の感覚を研ぎ澄まし自分の体を整えていくような雰囲気が好きです♪


【瓦すずめ】
特選156 裸木と認めぬ落ちぬ葉一枚 
裸木になりかけの木。その葉に一枚だけ残っている葉から叫び声をくみ取る感受性が非常に素晴らしいと思いました。


【髙橋雅城】
特選76 炉話の佳境に爆ぜる土佐の炭
炉を囲む風景は平凡でいわば、話し声もうまく聞きとれないようなモノクロームの光景で、そこへ偶然土佐の炭が爆ぜると、固有名詞が入ることによっていっきにその風景が色づきました。土佐の一言が炭の爆ぜる音やその赤さや熱さ、炉端の暖かさ、人の息づかいまで蘇らせるおもしろさをもった句だと思い、いただきました。


【十河智】
特選 27  年経ても、母の姿を追う自分にはっとすることがある。普段見馴れた故郷の山であろうか、共感を覚える。


【俣江美智子】
特選句64
動物園の檻の中でじっと目を閉じライオンは遥か彼方のサバンナに思いを馳せているのだろうか…。ライオンの意識の中に潜り込みそうな不思議な感覚。ライオンと冬麗がよく響き合っている。


【碩真由美】
42:腕時計はめる手首に今朝の冬
携帯電話を持つようになり、腕時計をしなくなってもう10年以上でしょうか。それでもこの句を一読して「そうだった」と、冬の朝の腕時計をはめた時のひんやりとした感触が「手首」にあったことを、はっきりと懐かしく思い出しました。選句の際、最後まで「112:冬ぬくし路地の奥までチンドン屋」と迷いましたが、自分自身の実感という点で42番を選びました。


【井伊辰也】
特選78 椅子ふたつテラスにならぶ小春空
素直な詠みっぷりが好きです。幸せを分けていただいた感じです。


【関野義高】
特選句 153:冬麗の朝水色のランドセル
水色のランドセルの子は、元気に歩いています。その足どりとランドセルの鮮やかな水色に作者は元気と清々しさを受け取り、冬麗の空気を胸いっぱいに吸い込む。充実した一日の予感すら感じられます。


【加納裕】
特選句139 どうしても座りの悪き林檎かな
この林檎には凹凸があり陰影がある。手触りがある。それを最少の要素で生き生きと表現する手法に俳句のエスプリを垣間見た。しかしこの林檎には色艶も甘い香りも無い。あえてそれを略すことにより林檎の抽象化にある程度成功している。この句は抽象画である。キュビズムを予感させるセザンヌの静物画を想起させられた。


【清水憲一】
特選46番
人は何気ない言葉によって傷つく。それが何度も繰り返されると心に突き刺さる針のようになる。そんな時熱燗をきゅうっと飲んで突き刺さった針も一緒に飲み込んで仕舞う。そのような詠者の行為に共感を覚えました。


【野島正則】
特選64.
百獣の王ライオン、冬うららと言う比較的新しい季語との取り合わせは、斬新。冬晴れの中でライオンは何を考えているのでしょうか


【山田紗由美】
特選:55
特選コメント:ムー大陸に対する神秘的眼が伝わる句だと感じた。


【谷原恵理子】
特選79 底冷えに足裏にぎる六畳間
寒い寒い部屋。足裏をにぎる、に切ないくらいの、寒さがありました。それに六畳間。一人暮らしの部屋ゆえの六畳間なのか。足をにぎる、とはなかなか言えないと思います。唇を噛み締めるような、底冷えに耐えている裸の足に、引き込まれました。


【大久保俊克】
155 反戦の詩


【茂木ひさを】
特選句:155
何を諦めたかは解らないが、一つの選択をすることにより、心の自由を得た。冬銀河がその選択の寂しさを表しているように感じた。


【檜鼻鬼旬】
特選 85 マネキンの笑みは変はらず初時雨
灰色に染まる季節のはじまり。一抹の寂しさを感じつつも、モノトーンの世界も美しく、硬質なマネキンの微笑に何故か感情移入しました。


【北野和良】
(特選)30 時雨来て小脇に隠す仏蘭西パン
フランスへ行った時に、夕方OLらしい女の子が長いフランスパンを小脇に抱えて帰るのを見て感動した。この句の作者も同じようにパンを抱えて帰る途中に時雨に出会ってしまったのだろう。雨に濡れないように慌てて抱え直している様子がコミカルに詠まれている。隠すの措辞がいい。


【渡辺すすむ】
特選句は185番「時雨るるや方言の交ふ街にをり」
方言が国訛りではないので、多分作者は東北などの訛りの強い地方都市での旅吟ではないかと思います。季語の「時雨」が情緒を醸し出して、街を行き交う人々の姿を見るようで佳い句だと思います。


【小酒井あゆみ】
特選 107 秋深し横にせしものやや動く
横にしたものが、ややでも動く事はないのでしょうが、そんな気になる深い秋…作者の繊細な感性が感じられました。そんな感覚が羨ましいです。


【坂上雲】
特選句27 ふくよかな母の背に似て山眠る
俳句ポストのお題で自分もいろいろ考えたのですが、冬の眠りについたような山々の稜線を「ふくよかな母の背」と見てとったその発想、発見がすてきだなあと思い特選にしました。作者はひょっとすると母を亡くしてまだ日が浅いのか、あるいは年老いた母親を一人残して遠くで暮らしているのかもしれません。きっと作者を深く愛し、慈しんでくれた母親なのではないでしょうか。自分も年老いた母親を介護しているので、なんだかこの句が胸に染みました。


大関博美】※番号29と記載があったため選句の際は29に加点してあります(by津野)。
特選28凡人の凡そなる日々日記果つ をいただきます。
誰しも凡夫を意識しながら懸命に生きている。その平凡な日々を凡そなる日々と洞察している作者の自分への客観的な見方が素晴らしい。その日々を日記を付けきることで唯一無二の存在として、結んでいるところに共感いたしました。


【山野辺草民】
特選句96 寒月やぽきんぽきりと飴細工
縁日などでぶっかき飴というのがあります。あるいは七五三の棒状の飴、あの固い飴を割る、かきんぽきんという音、寒月もきっとたたけばぽきんという音がしそう。冴えわたる冬の情景が感じられ、でも懐かしい飴細工にどこか温さがあり、いただきました。


【高尾美紀】
特選 64 瞑想に耽けるライオン冬麗
景がとってもよく見えました。百獣の王たるライオンの目をつむりたる様子は、まさに、瞑想という措辞にふさわしいと感じました。木陰に群れるサファリパークのライオンを思い出しました。とっても好きな句です。ライオンを見つめる作者の視線が好きです。


【佐藤日田路】
特選 173
選評 子供でしょうか、背伸びして手伝おうとしているとした姿が目に見えるようです。身丈→背丈として、より景が素直に映るような気がします。


【手塚偉智朗】
特選 鯛焼と姑の口への字かな
今回も、どの句も秀作揃いで選ぶのに悩みました。特選に撰んだ句は、景が見え、俳句の醍醐味たる俳諧味を、感じました。詠み終えて、クスッと笑えるユーモアを含んでいます。ほのぼのとした気持ちにさせてくれる、良い御句です。


【村上ヤチ代】
特選・113
懐かしい風景を感じました。


【山中みきを】
特選 118
もう正月準備ができてるのか・・うらやましいなあ。そして、その上、光をやさしいと感じる心の平穏もある。幸せである。


【牧内登志雄】
特選196:百歳に大根が引けるかどうかはともかく、抜こうとした大根に手を持っていかれながらも、しっかと捉まえている手の皺までが想像できる句ですね。


【菊池洋勝】
特選◎42の選評
携帯電話に時計やカメラが付いているので腕時計を着けるチャンスがない時代に。在宅療養の現場では脈を取ったり臨終の時刻を確認したり看護婦や医師にはまだ腕時計は外せないアイテムです。仕事で使う腕時計は色んな状況に遭遇するから高いものではないようです。プラスチックやシリコンバンドのものを良く見ました。この句に詠まれている腕時計は何か所縁のある逸品を想像しました。腕時計を着けるのに捲った袖口に入る冬の風と金属バンドが皮膚に触れた時の冷たさが出勤前の朝の緊張感を生んでいます。日常の一瞬を切り取った若い感性を思いました。


【川岡末好】
<特選>59 木守柿だけの出迎へ郷の駅
41番句「設へは詫び助一輪茶事の席」も俳味、侘び寂びがありとってもいい句だと思いましたが、「詫び助」の表記が違うように思いましたので残念ながら特選にはいただきませんでした。5句の中には入れさせていただきましたが。さて、59番句ですが、久々に故郷に帰って来られたのでしょうね。そして駅のホームに下り立った。ホームには人影もなく最初に目に入ってきたのは一つだけ実が残された柿の木。もう冬に入り寒さもいよいよ増す頃。本来「木守柿」にはいろいろな意味がありますが、そうでなくとも鄙びた田舎、侘びや寂び、また故郷を離れて生活している者にとっては大変懐かしく、愛しささえ感じるものではないでしょうか。その柿の木が作者を出迎えたんですね~。「木守柿だけの出迎へ」、作者は誰にも告げず帰郷して来たのかもしれません。また「郷」とこの漢字を使われたのも何か作者がこの句に込めたかった気持ちがあるように思います。さて、作者はこれからどうするつもりなのでしょうか?何の為に帰って来たのでしょうか?そういう感じさえ読む者に与えてくれる句だと思いました。そこに私も共感してしまったのでしょう。


【遠音】
<特選>146 咳九十焼夷弾百有る話
秀句が多く悩みましたが、この句を特選に頂いた決め手は、重量感です。ほぼ漢字のみという視覚的な威圧感もさることながら、「咳」が九十、「焼夷弾」が百、と畳みかける展開、語句選びに圧力を感じました。「咳」は冬の季語ですが、ここではむしろ余生の長くない老人を彷彿とさせます。そんな苦しい咳の合間から語る、生々しい焼夷弾の話。戦争の重さが、冬の肌をざらつかせるように迫ってきます。重苦しさ満載の句ですが、しかし九十、百とことわざのように語呂よく数字が跳び、「有る話」という体言止めが現在進行形ではない昔のお話、という時間の間隙を生み、句に軽やかさを生み出しています。一読後、心に残ってなかなか消えない一句でした。


【剣持政幸】
33を特選にしました。
寂しさを感じました。造られた過程とか、哀しみの記憶など、時間がたつにつれ薄れていることを如実に描写している庭落ち葉に見受けられました。お墓の光景なら、もっとしみじみとしたものが伝わると感じます。


【津野利行】
◎197 引力も神も見へざり木の実降る
採らせてもらっておきながら今更なんですが、この句の「ざり」とは打消しの意味を表しているのですよねえ?「引力も神も見えなかった」と・・・。ただただ木の実が降ったということを、「見えない」ということで逆に見えてくる感じがうまいなあと思いました。読み方が間違っていたらすいません。


【歌代美遥】
特選173


【西村楊子】
※特選選ばず


 

いかがでしたでしょうか、作句も難しいですが、読みもとっても難しいですよね。特選句以外の選などにつきましては、宜しければブログコメント欄や各自FBページなどにて反省会をしていただければ幸いです。また、次回お会いしましょう、ありがとうございました。

 

俳句大学ネット句会担当/津野利行

第8回ネット句会 講師選発表!

お待たせをしてすいませんでした。第8回ネット句会、俳句大学の講師のみなさんの選句結果をアップさせていただきます。今回、五島高資さんは句会に参加して頂いたので、永田満徳、中山宙虫のお二人分です。尚、渡部稲穂さんはお休みです。

 

★永田満徳選

f:id:haiku_university:20150305104158j:plain

 

【特選】
52 障子閉むなべて物事紙一重 川岡末好
谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』で、日本文化を障子から読み取ったが、外と内を障子という「紙一重」で隔てて、物事を済ませている日本人の知恵には敬意を払うものがある。ただ、近年障子文化が廃れつつあるのは悲しいことである。掲句はそのことを考えさせてくれる。


【秀逸】
65 梟の後ろ姿を誰も見ぬ 清水憲一
76 炉話の佳境に爆ぜる土佐の炭 山野辺草民
112 冬ぬくし路地の奥までチンドン屋 渡辺すすむ
163 小春日や大地てふ名の直売所 高尾美紀


【佳作】
45 裏山の雪降り止まぬ見舞かな 牧内登志雄
48 着ぶくれて己が腕を探すなり 髙橋雅城
99 雪蛍一緒に泣いて呉れますか 清水憲一
124 百円で何でも買へる冬籠 津野利行

 

 

★中山宙虫選

f:id:haiku_university:20150424110531j:plain


【特選】
ポン菓子のポンを遠くに冬うらら 髙橋雅城
冬うららの季語がぴったりときました。「遠く」には距離の遠くもあるが、過去の自分と向き合う時間もありそうで。


【秀逸】
83 朝市の大根砲のごと担ぐ 坂上雲
109 七つ目の駅より仰ぐ冬の雲 遠音
136 雑踏が風避けになる晦日かな 菊池洋勝


【佳作】
65 梟の後ろ姿を誰も見ぬ 清水憲一
70 冬波の愛かと想ふテトラポット 佐藤日田路

 

 

以上です。
講師のみなさん、ありがとうございました!

第8回ネット句会 選句結果発表!

第8回ネット句会の選句ありがとうございました。
句や名前の間違い、自分の句ではないなどの間違いがありましたら津野まで連絡願います。今回も特選句2点、並選句1点として点盛りをさせて頂いた結果でございます。また、選句頂けなかった方が2名、特選を選んでいただかなかった方が1名おりました。


コメントは、ブログのコメント欄やFacebookで私へのメッセージで頂いておりますが、ブログコメント欄は順次オープンさせて頂きますので、そちらでもご覧いただけますのでお楽しみ頂ければ幸いです。

 

 

≪8点句≫
64 瞑想に耽けるライオン冬麗 村上ヤチ代

 

≪7点句≫
42 腕時計はめる手首に今朝の冬 関野義高
83 朝市の大根砲のごと担ぐ 坂上雲
198 鯛焼と姑の口のヘの字かな 碩真由美

 

≪6点句≫
30 時雨来て小脇に隠す仏蘭西パン 大関博美
112 冬ぬくし路地の奥までチンドン屋 渡辺すすむ
155 あきらめてからの自由や冬銀河 俣江美智子
197 引力も神も見へざり木の実降る 谷原恵理子

 

≪5点句≫
27 ふくよかな母の背に似て山眠る 渡辺すすむ
65 梟の後ろ姿を誰も見ぬ 清水憲一
139 どうしても座りの悪き林檎かな 山中みきを
196 百歳の手を大根に引かれをり 山岸八萬星

 

≪4点句≫
9 ポン菓子のポンを遠くに冬うらら 髙橋雅城
46 熱燗や針の言葉を併せ飲む 檜鼻鬼旬
51 冬浅し駅員だけの始発駅 小酒井あゆみ
124 百円で何でも買へる冬籠 津野利行
173 渋柿を干すには足りぬ身丈かな 菊池洋勝
189 冬枯れやいささかつのる人嫌ひ 檜鼻鬼旬

 

≪3点句≫
33 庭紅葉水子地蔵のかくれんぼ 十河智
49 縄文の火祭り跡の小六月 歌代美遥
59 木守柿だけの出迎へ郷の駅 茂木ひさを
62 一燈を余喘に凝らす霜夜かな 加納裕
79 底冷えに足裏にぎる六畳間 村上真々
85 マネキンの笑みは変はらず初時雨 髙橋雅城
87 体内のチューニング音冬に入る 谷原恵理子
96 寒月やぽきんぽきりと飴細工 濱田美紀子
99 雪蛍一緒に泣いて呉れますか 清水憲一
101 身の内の芯熱りをり冬紅葉 佐藤日田路
107 秋深し横にせしものやや動く 西村楊子
113 手水鉢冬の紅葉の二つ三つ 檜鼻鬼旬
125 冬ざれやサイレンなしの救急車 小酒井あゆみ
153 冬麗の朝水色のランドセル 谷原恵理子
154 凩やそれぞれの灯へ急ぎたる 五島高資
167 虎落笛俺はそこまで弱さうか 瓦すずめ
185 時雨るるや方言の交ふ街にをり 髙橋雅城
199 ハンガーの首の直らぬ冬の朝 遠音

 

≪2点句≫
1 夕映の凍湖や少女舞上がる 井伊辰也
2 石ひとつ十色を感じ冬紅葉 谷原恵理子
3 東京と江戸をむすぶや冬の水 五島高資
11 冬の虹帰郷の知らせ投函す 遠音
20 寒の月火傷の肌をさらしけり 山田紗由美
29 お太鼓をポンと叩ひて冬に入る 村上ヤチ代
36 落葉踏むこの世のことを考えず 佐藤日田路
55 わたなかのムー大陸や天狼星 五島高資
66 さざんかのひとひらといふかぞへかた 西村楊子
73 尖りたる冬の月見て聞くニュース 山中みきを
76 炉話の佳境に爆ぜる土佐の炭 山野辺草民
78 椅子ふたつテラスにならぶ小春空 碩真由美
90 波のまま風のままなる浮寝鴨 牧内登志雄
118 張り詰めてやさしきひかり白障子 川岡末好
146 咳九十焼夷弾百有る話 山岸八萬星
156 裸木と認めぬ落ちぬ葉一枚 村上真々
157 冬ざるる倒れしままの一輪車 村上ヤチ代
161 小春日の下校の子らの足遅し 坂上雲
204 枯蔓の手放せぬものありにけり 津野利行
205 寒北斗後ろに誰もいなくても 小酒井あゆみ

 

≪1点句≫
4 凩の行き着くところ佃島 津野利行
7 放課後のチャイム早めて冬に入る 坂上雲
13 針の無い柱時計や冬安吾 加納裕
14 霜焼けの草の匂ひのひとりごと 剣持政幸
24 木の間より鳥のかしまし初時雨 碩真由美
31 あおぞらに峰の白きや片しぐれ 桑本栄太郎
32 狐火やどの道ゆくも戻りたり 清水憲一
35 火恋し尿瓶を割つてくれさうな 山岸八萬星
41 設へは詫び助一輪茶事の席 呆菜
45 裏山の雪降り止まぬ見舞かな 牧内登志雄
52 障子閉むなべて物事紙一重 川岡末好
53 あちこちにイルミネーション冬来る 高尾美紀
56 遺されし大きセーターに包まるる 俣江美智子
57 モクセイの記憶に触れる海馬かな 山田紗由美
60 白無垢のごとく雪積み姫椿 井伊辰也
67 忘れ花校舎の裏の秘密基地 坂上雲
74 残り鷺風を抱くやうに舞い降りる 呆菜
93 父の剥く渋柿皮の厚いこと 菊池洋勝
94 ナイフ研ぐ指切るまで研ぐ寒暮かな 山野辺草民
97 目を開けていても暗闇冬の浜 小酒井あゆみ
98 せせらぎの早瀬さばしり紅葉散る 桑本栄太郎
108 自力まだあると気付きし神無月 村上ヤチ代
115 雪祭先住民の輪が跳ねる 井伊辰也
130 ココットの壺真っ赤なり感謝祭 山田紗由美
134 オーロラの満ち満ちてゆく霧氷林 井伊辰也
136 雑踏が風避けになる晦日かな 菊池洋勝
138 時雨れ夜は薩摩結びを子に教へ 呆菜
147 紅葉降る熊本大の赤レンガ 歌代美遥
148 バルザツク像に叶はず褞袍着る 髙橋雅城
151 少年の黒子艶めく憂国忌 山野辺草民
163 小春日や大地てふ名の直売所 高尾美紀
165 時雨るるや嘘泣きと言ふ技覚ゆ 村上ヤチ代
166 東京のど真ん中にて時雨けり 渡辺すすむ
172 落葉掻き寂しき音があるばかり 加納裕
175 忽ちにかむゐね雪の積もりけり 山田紗由美
180 指切りの契りの疼く近松大関博美
186 昼の月白き天守と競い合う 坂上雲
188 木枯らしや魔王が夜の手を伸ばす 佐藤日田路
191 鈴なりの柿明かりかな遠回り 剣持政幸
193 難問の解けてすつとおでん酒 清水憲一
195 少し羨(とも)し真砂女の恋路夕時雨 歌代美遥
203 ぬばたまの黒髪濡れし冬隣 野島正則

 

 


追って皆さんから頂いた選句のコメントなどをまとめてアップさせて頂く予定です。また、先生方の選の結果もアップさせて頂きたいと思いますので、そちらもお楽しみになさってください。


だんだんと寒さが厳しくなってきました。体調管理に気を付けて、日々俳句を楽しんでまいりましょう。それでは、また!


俳句大学ネット句会担当/津野利行

【管理人:元 俳句大会通信教育学部ネット句会科/津野 利行】